研究課題/領域番号 |
18K02546
|
研究機関 | 開智国際大学 |
研究代表者 |
坂井 俊樹 開智国際大学, 教育学部, 教授 (10186992)
|
研究分担者 |
竹内 裕一 千葉大学, 教育学部, 教授 (00216855)
鈴木 隆弘 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (40433685)
荒井 正剛 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40795712)
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 准教授 (50574331)
重松 克也 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60344545)
小松 伸之 清和大学, 法学部, 准教授 (80609777)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 排除と包摂 / 公営住宅 / 水俣病 / SDGs / 社会科カリキュラム |
研究実績の概要 |
今年度はアンケート等の意識に関する調査・研究よりも、具体的な授業実践と絡めた教材のためのフィールド調査、および研究協力者による授業実践のための教材研究や授業実践の報告を中心に進めた。また「排除」と「包摂」の教育課題を学ぶために、外部講師を招聘して学習する機会を考えた。研究会は、以下の日程で実施した。 第一回 2019年6月23日(日・午前・午後) 昨年度の『報告書』をもとに、各自のまとめと今後の課題を報告・討議した。とくに地理・歴史・公民の各領域で排除と包摂をどのようにとらえていくのか、報告した。そしてそれを実践研究につなげることを確認した。 第二回 2019年9月1日(日・午前・午後) 日本社会科教育学会全国研究大会(新潟大学)での報告の検討と、排除と包摂の理論的整理を小瑶史朗を中心に進めた。学会報告は、「水俣病」をどう読み解き、教育実践につなげていくかであった。 第三回 2019年12月8日(日・午前・午後) 各分担者と協力者の進捗状況の報告と議論、それに続き都立高校の課題を持つ高校生の「排除」の実態と「包摂」の可能性について、2時間ほど講師を招聘しお話いただいた。具体的な現場での問題点と取り組みを共有でき、有意義であった。 第四回 2020年3月1日(日・午前・午後) 本年度最後のまとめとしての各自の報告と西田芳正氏(大阪府立大学人間社会システム科学研究科・地域保健学域 教育福祉学類・教授)テーマ:「大阪における公営住宅と子ども・学校・地域社会の現状と課題」(仮題)を計画していた。※第四回は、新型コロナの関係で実施できず、新年度に延期することになった。なおこの間、メンバーは、科研予算を使用してフィールド調査や学会での資料収集を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「排除」が進行する現代社会に於ける教育活動や、学校がいかに子どもたちを「包摂」するか、社会科授業の試みとカリキュラム作りが最終的な目標である。私たちはカリキュラム作りを単独で行うのではなく、授業実践の試行錯誤と積み上げて構築していきたいと考えている。その意味で、研究分担者の連携し、多くの研究協力者(小・中・高校の教員)による実践的開発研究が積極的に進められることを期待し、おおむね順調に進展したと評価している。また学会発表ができたグループもあり、それなりのまとめと公表ができと考えられる。 なお三学期に予定していた実践のまとめが、新型コロナ感染症の影響で、できなくなり、十分なまとめができなかった点は悔やまれる。また外部講師(12月)による講演は、私たちの進めたいた授業実践の方向に新たな知見を加えるものとなった。録音を活字化して、今後も共有していきたいと考えている。なお3月に予定した西田氏による大阪市の公営住宅における子どもたちの概況と教育課題は、中止・延期となり、今年度のできるだけ早い段階で実施したいと思う。
|
今後の研究の推進方策 |
残念ながら、昨年度末から現在までの期間に小・中・高・大学の授業が行われなかったり、家庭学習やオンデマンド・オンライン授業が実施されてきた。こうした状況は、学校という存在の意味を改めて問う視点を私たちに提起した。またこの間に、経済的な格差に由来する情報環境の落差が、各家庭間で大きく、それがダイレクトに学力保障の問題とつながっていた。塾や予備校によるサポートの可否、公立学校と私立学校の差、公立校間の地域格差など、新たな「排除」と「包摂」の課題が浮き彫りになった。この点の私たちの経験知を組みこむことは避けて通れないと考えている。 その点で、理論的枠組みの再構築も必要と考えている。 つまり今回のグローバル化のもとで感染症というパンデミックに対して、「学力保障」という点で考えたとき、第一に、どのようにどの子どもにも学力を保障していく方向の探究という点がある。第二に、今回のパンデミックを社会科教育としてどのようにとらえていくのか、カリキュラムの基盤に関する検討課題がある。 本年度で終了するか不明であるが、上記の二つの課題を考えながら、本研究テーマに迫っていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で、1月後半から最終の年度のまとめ期間に、旅費・講演費、年度末報告書作成費、研究協力者教材開発費等、使用できない部分が生じたためである。それらの事業を翌年度に延期し、実施したいと考えている。
|