研究実績の概要 |
本研究の目的は、チームとしての学校で「総合的な学習の時間」(以下「総合的学習」)を活性化するために、汎用的に実施できるストラテジー(戦略:方策や取組の組み合わせ方を表した道筋)を研究開発し、具体的なタクティクス(戦術:具体的な方策や取組)も例示したリーフレットを作成・配布することであった。 令和3年度は、前年度までに得られた面接調査等による研究成果に基づき、全国の小・中・高等学校から無作為に抽出した学校の校長及び総合的学習の推進を担当している教員(以下「総合推進担当教員」)を対象としたアンケート調査を行った。有効な標本(校長1,126件・総合推進担当教員1,017件)を対象として統計学に基づく分析を行った結果、自校の「総合的学習」が活性化しているという認識に影響する校長の取組は、学校の特色づくり、総合部の活用、地域との対話、予算の確保、時間の確保の5つであった。また、同じく総合推進担当教員の取組は、地域との対話、検討する場の設定、日々の授業の計画、校長との協議の4つであった。これらの取組は全校種を一括して分析した結果であるが、学校種別でも分析を行い、小・中・高等学校それぞれにおける校長及び総合推進担当教員の取組を明らかにした。 また、アンケート調査で得られた結果の妥当性・有用性や実施上予想される課題等を検討するために、総合的学習に関心のある教員及び関係者46名の参加を得て、オンライン会議によるフォーラムを開催した。アンケート調査結果の報告、小・中・高等学校の教員3名による実践事例の紹介、4つのテーマに分かれたセッションでの協議を通して、前述した取組をストラテジーに、取組の詳細をタクティクスに同定することで参加者からの諒解が得られた。 さらに、フォーラムの成果を16ページからなる小冊子にまとめ、あらかじめ希望のあった全国の教員や学校、関係機関等にPDFで配信した。
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