研究課題/領域番号 |
18K02559
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
大滝 一登 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (10544299)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | テキスト / 読解 / 難度 / 高等学校 / 国語科 / カリキュラム |
研究実績の概要 |
平成30年度は、概念的記述による、高等学校国語科で育成すべき「読むこと」(ノンフィクション)に関する資質・能力の具体的検討に着手した。具体的には、我が国における主として高等学校学習指導要領及び解説の記述を整理するとともに、アメリカ合衆国など諸外国のナショナルスタンダードの一部について確認を進めた。「読むこと」に関する資質・能力は新学習指導要領において以前よりも明確化されたものの、読む対象となるテキストの難度については、具体的な規定が存在しないか、抽象的な文言にとどまっている。また、我が国の国語教育における先行研究においても、テキストの難度を本格的に取り上げたものは見当たらなかった。 一方で、先行研究に関する調査を進める過程において、日本語学における日本語教育研究において、テキストの難度に関する研究が進んでいることが明らかとなった。そこで、日本語学研究者を研究協力者とし、日本語教育におけるテキストの難度に関する定義やその判定方法に関する知見の獲得を目指し、サンプルテキストを用いた難度の検討を行った。当年度における具体的な研究成果は十分ではないが、研究方法と見通しの一部を獲得することができたのは大きな成果であるといえる。 本研究は、今後必要に応じて、コーパスに関する日本語学や情報科学、高等学校国語科教員などの協力を得る可能性が高くなったといえ、次年度は研究プロジェクトとしての基盤作りを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画において目指していた、概念的記述による、高等学校国語科で育成すべき「読むこと」(ノンフィクション)に関する資質・能力に関しては、高等学校学習指導要領及び解説の記述を整理するとともに、アメリカ合衆国など諸外国のナショナルスタンダードの一部に関する分析を行ったが、教科書分析に未着手であるなど、計画通りに進捗していない面もある。 その一方で、テキストの難度に関する研究が日本語教育の分野において進んでいることが明らかとなった。そこで、日本語学研究者を研究協力者とし、日本語教育におけるテキストの難度に関する定義やその判定方法に関する知見の獲得を目指し、サンプルテキストを用いた難度の検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
研究は当初の計画とは異なる方向も視野に入れて進捗中であり、今後母語教育としての国語科教育への応用に向けた更なる知見の獲得に努める。 具体的には、当初計画ではテキストの難度に関する指標等を確定後に、高校生を対象とした調査を予定していたが、サンプルテキストを使用した研究代表者及び研究協力者による分析と併行しながら、実地での調査を小規模で行い、得られた知見を相乗的に成果につなげることを目指す。 本研究は、今後必要に応じて、コーパスに関する日本語学や情報科学、高等学校国語科教員などの協力を得る可能性が高くなったといえ、次年度は研究プロジェクトとしての基盤作りを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、当初計画においては、外国旅費を計上していたが、本務多忙により外国での調査を行わなかったこと、研究の方向性の変更が生じたため、必要となる備品購入を翌年に持ち越したことなどである。 次年度は、更なる先行研究やサンプル研究の拡大、高校生や高校教員を対象とした調査を予定しており、翌年度請求助成金も含め、適切に使用することとしている。
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