研究課題/領域番号 |
18K02559
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
大滝 一登 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (10544299)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 読解テキスト / 高等学校 / 国語科 / カリキュラム |
研究実績の概要 |
本年度も、新型コロナウイルスの感染拡大による影響により、当初計画の大幅な変更を余儀なくされ、先行研究が乏しい中、海外視察も断念せざるを得ず、参考文献を広く探索した。 それらのうち、国語科教育学における先行研究として、主として義務教育における説明的な文章の論理構造と難易度との関係に関する文献を、日本語教育学における先行研究として、自然言語処理で利用されるデータ解析の手法を用いて、テキストのリーダビリティ公式を作成し、その妥当性を検証するとともに、さらに応用研究として、「現代日本語書き言葉均衡コーパス」および「新聞記事」から無作為にテキストサンプルを抽出し、文章の難易度に関する大規模調査を行うとともに、日本語教育対象者に向けた「日本語文章難易度判別システム」の構築を行った研究とを踏まえ、研究を進めることとした。 具体的には、研究協力校4校の高校生を対象として、事前に「日本語文章難易度判別システム」により、文章の難易度やテキスト情報の分散化を行ったサンプルテキスト3編を読ませ、その後、どの程度難しさを感じたかを尋ねるとともに、その要因として想定される、「内容の時代的な親しみにくさ」「筆者の考えの複雑さ」「内容に対する興味のなさ」「学習していない語句の使用(評論用語など)」「古めかしい語句の使用」「専門用語の使用」「論理の展開の複雑さ」など15項目について回答を求めるなどのアンケート調査、ヒアリング調査を行い、分析した。 これらの研究結果については、全国大学国語教育学会の自由研究発表部門において、発表するとともに、会場参加者から多くの示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度からやや状況は改善されつつあるものの、引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大により、移動の制限や、研究協力校への協力の困難さなどが研究の進捗に支障をきたした。また、読解テキストの難度自体を対象とした先行研究の乏しさや、難度を客観的に測定する方法の困難性についても改めて浮き彫りとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、本研究の最終年度に当たることから、昨年度までの研究をさらに進めるため、引き続き、日本語教育学の研究者と連携するなどして、読解テキストの難度に関する知見の充実に努める。具体的には、「日本語文章難易度判別システム」も含めた複数のアプローチにより、研究協力校の高校生に対するアンケート調査等を継続し、高校生が文章の「難しさ」をどのように判断しているかなどについての分析を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大等による研究の遅れにより、2023年度も引き続き、多様な文献探索や学会参加、研究協力校の高校生に対する調査などが必要となるため。 直接経費の使用に当たっては、主に文献収集、学会参加、分析ツールの購入、研究協力校への旅費などに充当する計画である。
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