本研究は、教育における体験学習の格差を是正するために、1.仮想現実(Virtual Reality;以下、VRと略す)の技術を応用し、情報通信端末を用いて社会見学や野外学習を疑似体験できる学習教材を50点以上制作し、2.制作したVR映像の学習効果やユーザビリティなどの評価や、3.成果の普及のために検証したVR映像を、ソーシャルプラットフォームを利用して一般に配信することを目的としている。まず、「1.VR映像の制作」については、昨年に引き続いて地方自治体等と連携して総計で200点以上を試作した。これは当初の目標の400%の達成である。 次いで、「2.VR映像の評価」では、児童生徒を対象にワークショップを開催して実証を進めた。その結果、各年齢で興味を示した割合は86%以上と大きな値であり、検定の結果にも統計学的に有意な差が認められた。また、小学校の教員を対象とした評価では、多くの方が授業で利用したいと回答したことに加え、授業において教員が主導の利用や児童が主体的な利用など、幅広い利用が想定されたことからも実用性の高さがわかった。それらの結果については学会発表や研究論文としてまとめた。 最後に、「3.VR映像の配信」については、2.の実証実験を通じて安全性が確認されたVR映像をソーシャルプラットフォームとホームページから公開しており、教育機関と連携してユーザビリティの向上のための実証を進めた。その結果についても学会発表を行った。
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