研究課題/領域番号 |
18K02563
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
林 尚示 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10322124)
|
研究分担者 |
安井 一郎 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (80200492)
鈴木 樹 鎌倉女子大学, 教育学部, 教授 (00410027)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 特別活動 / 学級活動 / OECD / コンピテンシー / エージェンシー / 新型コロナ感染症 / カリキュラム / ICT |
研究実績の概要 |
本年度は、千代田区の小学校、中学校での特別活動の参観を行った。参観に際しては、情報公開制度を活用して、事前に千代田区立小学校、中学校、中等教育学校の教育課程届の収集を行った。そして、教育課程届の比較を試みた。同時に、比較研究による今後の活用のために、新宿区の小学校と中学校の教育課程届も、情報公開制度を活用して収集した。 千代田区の小学校で特別活動の学校行事を参観した後に、授業を実施した教員対象のインタビュー調査を行った。これらの成果は、日本特別活動学会の研究大会で発表し、同学会に論文の投稿をした。今年度は、コロナ禍で制限された中での特別活動でも、児童生徒に育成が期待されていたOECD準拠型コンピテンシーがどのような方法で指導されていたのか分析した。 教育課程届,学校だより,教師インタビューの分析と検討の結果,以下の三点が明らかになった。第一に,教育課程届の分析からは,特別活動については,2019年度と同等の内容を保証しようと考えている学校がほとんどであった。しかし,時間数の減少・変更が行われている学校があり,集団宿泊的行事の中止や日帰り行事への変更が行われた。第二に,学校だよりの分析や教師インタビューの結果から,運動会や委員会活動,係活動は,制約された条件の中で,当初のねらいをどうにかして達成しようとする願いをもって,競技種目や実施方法の変更,LMS(Teams)の活用等種々の工夫を行って実施されていることが明らかになった。第三に,TeamsというLMSを活用することによって,新型コロナウイルス感染症対策に資するだけでなく,時間と空間に制約されない活動が展開できる,新たな活動内容や発表方法を工夫できる等,特別活動の新たな可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、4年間の研究の1年目と2年目は、東京都小金井市立小金井第二小学校の眞壁校長や田村教諭とともに、特別活動の中の特に学級活動について指導計画を検討したり、授業の収録をしたり、収録された授業記録のテキストデータや映像・音声などのをもとに授業の分析検討をしたりしてきた。 しかし、新型コロナウイルス感染症の予防上の理由から、学校訪問や共同作業が困難になった。その結果、本研究課題の進捗状況については「やや遅れている。」という自己評価となった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では学校訪問や授業収録を予定していたが、新型コロナ感染症の影響で学校訪問がが困難になってきた。そのため、研究計画の変更を模索している。研究を遂行する上での課題等は新型コロナウイルス感染症対策であるが、これを契機ととらえ、新型コロナウイルス感染症対策下でのタブレットPC等ICTを活用した特別活動の実態調査への変更をする予定である。特に、小学校の学級活動でのICTの活用について検討を深めたい。具体的には次の問いを検討していく予定である。「タブレットPCで学級活動を実施するためには、どのような教材を活用、開発するとよいか?」「各教科等の中での特別活動でのICT利用のメリットは?」「ZoomやTeamsなどで全校集会を教室で参観するといった方法の有効性は?」「小学校と大学での特別活動に関する教育活動でのオンラインの活用はどのようなものか?」 また、児童が指でタブレットPCに文字を書くとテキスト入力できるシステムを小学校2年生の係活動で活用して係新聞を作成している事例があるので、この事例について教育効果の検証に取り組みたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
獨協大学の安井一郎教授配分額のうち30,787円繰り越しが生じた。新型コロナ感染症の影響で、学校実地調査等が滞ったための繰り越しである。今後は、この予算は、訪問やオンラインによるインタビュー調査などの準備のための使用を計画している。 鎌倉女子大学の鈴木樹教授分のうち464,309円の繰り越しが生じた。こちらも、新型コロナ感染症の影響で、学校実地調査等が滞ったための繰り越しである。この予算についても、今後は、訪問やオンラインによるインタビュー調査などの準備のための使用を計画している。
|