研究課題/領域番号 |
18K02563
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
林 尚示 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10322124)
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研究分担者 |
安井 一郎 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (80200492)
鈴木 樹 鎌倉女子大学, 教育学部, 教授 (00410027)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 特別活動 / 学級活動 / OECD / コンピテンシー / エージェンシー / 指導方法 / 総合的な学習の時間 / 教育評価 |
研究実績の概要 |
特別活動でOECD準拠型コンピテンシーを育成するための指導方法の開発に関する研究の2021年度の実績は、次の2点にまとめられる。 1つ目は、OECD準拠型コンピテンシーを「OECD Learning Compass 2030」の内容から再度検討し、コンピテンシー育成に関連して、児童生徒のよりよい未来に向かう主体性であるエージェンシーも研究対象に含むことにした。そして、義務教育の前半段階である小学校を対象とし、特別活動における要の時間である学級活動を取り上げ、特に学級活動の中でも人間関係形成の育成の視点が顕著に観察できる学級活動(1)の学級会の内容に焦点化した研究を行った。このことは、論文として公表できている。公表した論文では、小学校学級活動(1)の学級会を事例として、特別活動でOECD Learning Compass 2030のAgencyとコンピテンシーの発揮を図るための指導方法について検討した。 2つ目は、現在と同様に未来が不確実なVUCAの時代であった戦後初期の1945年以降の5年間程度について、特別活動や総合的な学習の時間の特徴を持つ教育活動がどのように資質能力育成に貢献したのかということを、東京学芸大学の前身となる師範学校の附属小学校を事例として探究することができた。このことも、論文として公表できている。公表した論文では、東京学芸大学・第一師範学校附属小学校、第二師範学校附属小学校、第三師範学校附属小学校の比較をすることで、特別活動と総合的な学習の時間につながる戦後初期経験カリキュラムの原理と方法を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症に起因する教師へのインタビュー調査や児童への質問紙調査などの実施の困難性の影響はあったものの、研究の一部に歴史資料の分析を含んだため、一定程度は進めることができた。しかし、全体的に見ると現在までの進捗状況はやや後れているので、当初の研究予定の4年間では研究は完成していない。そのため、1年間の研究期間延長を申請し、認めていただけている。
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今後の研究の推進方策 |
特別活動でOECD準拠型コンピテンシーを育成するための指導方法の開発に関する研究について、今後は次の2つの内容を進める予定である。 1つ目は、教師を対象としたインタビュー調査である。東京都で小学校の特別活動と総合的な学習の時間を推進する複数の教師にインタビュー調査を実施し、特別活動でOECD準拠型コンピテンシーを育成するための指導方法について分析を深める。 2つ目は、戦後初期の経験カリキュラム導入時の資質・能力の育成について、当時の教師が工夫していた内容を再検討し、現在の特別活動と総合的な学習の時間の指導の視点から特徴をまとめる。 これらの研究成果は、学会発表や研究紀要などで公表予定である。学会発表については、日本特別活動学会第31回大会(オンライン・福岡教育大学、自由研究発表、2022年8月21-22日)で公表予定である。研究紀要については、『東京学芸大学紀要』(2022年9月上旬原稿締切、2023年3月発行予定)で公表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の蔓延によって、訪問調査に不都合があり予定のとおりには予算が使用できなかった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は、学校訪問などの旅費等で、予算を有効活用する予定である。
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