研究実績の概要 |
【大根スライスディスクの厚みと浸透特性】厚みと浸透特性との関連を正確に把握するため、市販の電動スライサーを使い、厚さ1㎜と2㎜で検討した。その結果、厚さ1㎜と2㎜で重量は約2倍の差があるものの、水につけて10分後の吸水量はほぼ同じであった。このことから、水の浸透速度は、ディスク表面積に比例するものと結論される。従って、相対重量変化率は、ディスクが薄いほど大きくなるため、一定の厚みのディスクを切り出し易くするため大根を円筒形にピーラー等に加工する手順を取り入れる必要がある。 【細胞内液・体液浸透圧濃度測定法の開発】2mm厚大根ディスクを調整後直ちに、0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4 Osm/Lスクロース溶液に浸して水の相対吸脱水率を測定した。すると浸透圧濃度の横軸と交差する直線関係が得られる。その結果から大根の浸透圧濃度は以外にも高く生理的食塩水とほぼ同じ0.31 Osm/Lと求められた。また、キュウリとニンジンの浸透圧濃度は0.25および0.34 Osm/Lと求められた。野菜はみずみずしいものから萎びたものまであり、各状態の浸透圧濃度を比較することも重要な教育題材となる。 【動物を用いた実験法の開発】ニホンアマガエルの吸水活動は主に腹部皮膚から行われる。直径10cmのシャーレにキッチンペーパーを敷き、0, 0.133, 0.267, 0.400 Osm/Lスクロース溶液を浸み込ませてアマガエルを鎮座させて蓋をする。キュウリとほぼ同じような相対吸脱水率直線が得られ、ニホンアマガエル体液の浸透圧濃度が0.22 Osm/Lと求められた。人体液の浸透圧濃度の約2/3程度となり、両生類の浸透圧濃度は哺乳類と比較して低いことが知られているがその通りの結果となった。以上より、本浸透圧実験法は植物のみならず動物を用いても可能であることを実証できた。
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