研究課題/領域番号 |
18K02566
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤井 豊 福井大学, 学術研究院医学系部門, 客員教授 (80211522)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 理科教材 / 浸透 / アクアポリン / 阻害剤 / スクリーニング |
研究実績の概要 |
これまで、普段の生活に無くてはならない食品である野菜(大根など)あるいは動物(ニホンアマガエル)など身近な植物や動物を活用して、例えば大根を使った授業ではスライサー、型抜き、重量計、ストップウオッチ、震盪装置(あれば便利)、紙コップ、紙タオル、水、塩、砂糖など通常の理科室にある簡単な実験器具や試薬があれば簡単に浸透現象を定性的に観察し、またファントホッフの浸透圧を定量的に解析することが可能な理科教材を開発してきた。浸透は、非常に難しい概念で学習する困難さがあるが、直感的に体得できる教材としてその普及が期待されている。また、理科教材のみならず、学術的にも医学的にも広く応用できるシステムとしても大きな期待が寄せられている。高血圧症などの治療を目的に利尿剤の開発を目指したアクアポリン阻害剤のスクリーニングとしての活用にも取り組んできた。しかし、安価で多数の均一な大根スライスを用意調整できるとしても、天然物由来の阻害剤試料の液体クロマトグラフィー分画試料それぞれに対し浸透圧調整を実施しかつ多数の大根スライスの経時変化を計測する必要があるなど膨大な労力を強いられるこれまでのスクリーニング方法は、実用性に難点がある。この現況を打破するために、新たな発想の転換に迫られていると言える。そこで、水の浸透を支配するアクアポリンの双方向性の水の浸透メカニズムの本質に迫りつつ、阻害剤によるアクアポリンの偏向性の阻害による新たな阻害効果の評価方法を検証したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響で研究成果の発表及び公表に遅れが生じているため。
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今後の研究の推進方策 |
水銀Hg2+などの阻害実験では、アクアポリンの阻害は、細胞内への水の浸透速度の低下から判断していた。阻害剤は細胞外から投与されるため、細胞内へ水を取り込む際に阻害剤が奏効する。植物細胞では細胞壁が元々細胞に浸透に抗する張力として働いているため、水の細胞内への浸透が阻害されると、逆に水の逆浸透が優位になり細胞内の水が失われる現象があると考えられる。この原理を応用して簡単なアクアポリン阻害剤のスクリーニングシステムを開発することにし、その実用性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな発想から上述のとおり研究の新たな進展が見込まれるため、次年度の研究の必要が生じた。また、最終年度の研究成果を学会等で発表するにあたり、これまで開発した理科教材等の成果物を展示演示等する計画を企画している。
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