研究課題/領域番号 |
18K02570
|
研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
田中 生雅 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10262776)
|
研究分担者 |
田中 優司 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70377654)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 健康相談 / 大学生 / 自殺相談対応 |
研究実績の概要 |
本年度計画では二つの調査を実施した。 調査1:大学生の自殺相談対応に関する研修状況と今後の課題について明らかにすることを目的に、平成30年度に研究代表者が学内で担当した4講座内にて、1時限ずつを用い自殺相談対応研修を実施し、終了時に受講した学生にアンケート調査を実施した。教材は、全国大学メンタルヘルス学会HPの「あなたが守るいのちのともしび」テキストを使用した。参加した学生は83名(男性23名、女性60名)であった。 本調査結果を検討し、第40回全国大学メンタルヘルス学会総会でアンケート調査の全体結果を発表した。結果では、「以前から対応方法を知っていたか?」の質問に47名(56.7%)が「知っている」「聞いたことがある」と回答し、自殺相談対応について情報に触れたことがあるものが半数以上であった。一方、「自殺の相談を受けた場合、実際に対応ができますか?」の質問に、74名(89.2%)が「あまり自信がない」「できない」と回答し、約9割の学生が現在の対応力が十分ではないと考えているようであった。また、「研修はどうだったか?」の質問に、82名(98.8%)が「非常に良かった」「良かった」と回答し、受講者の評価は良好であった。さらに同調査の自由記載について、IRIS HEALTH Vol.17に報告した。 研修時アンケート調査を実施しその結果より、相談対応研修が初めてである学生も多く、授業の効果や実際の相談経験があったか等を検証するためにも、本調査について次年度以降も引き続き実施し、検証や報告を積み重ねる必要があると考える。 調査2:学生のメンタルヘルス状況や健康状況と自殺相談の関連を見るための、健康診断時アンケート調査については平成31年度学生定期健康診断(平成31年3月下旬から)にて実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の実施計画の内、アンケート実施と「自殺相談対応研修」の実践が主な研究実践であった。アンケートの結果は期間内で可能な限り個別、及び全体として解析をすすめることとした。 授業アンケートについては、授業受講者が例年より少なく、今年度は83名であった。学内公開の学生・教職員・保護者対象の自殺相談対応研修に関する健康講座は企画への参加応募者が無かった。健康診断時のアンケート調査については、結果集計を年度内に行うことができず、次年度早期に集計を行うこととなった。アンケート回答者は想定の1000名を超え、1700名程度となった(次年度に集計)。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、平成30年度データを詳細に検討し、「医療機関、日常のセルフケア、学内相談窓口の利用と経過」「大学メンタルヘルス環境への効果」「『自殺相談対応研修』が自殺相談対応へどう役立っているか」について因果関係を検討する。 個別の統計処理にあたり、プライバシーへの配慮に気を付ける。今後の健康教育や指導における「自殺相談対応研修」をどのように行うかについて明確にする。また、平成30年度同様のアンケート調査を平成31年度にも行い、健康支援センターで行われる定期健康診断を通じての経過観察を継続する。 また、個別の指導から実際の問題点を抽出し、検討する。平成31、令和2年度には成果発表を申請者が行う。健康診断業務と連携させ、学生のメンタルヘルス状況と「自殺相談対応研修」「実際の相談対応」の効果に焦点をあてた、2年間の踏み込んだ追跡調査結果から「自殺予防環境」と「学生教育」にどの要因が健康サポート技術の発展に役立つかを研究期間内に明らかにする計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
①平成30年度で行ったアンケート調査の実施が年度末となり、集計の外部依頼が平成31年度研究での実施となってしまったこと。 ②調査結果の検討がデータ集計後となることで、物品の購入等も平成31年度研究に行うこととなったこと。 以上が次年度使用額が生じた理由である。よって平成31年度に集計の外部委託費および研究に必要な図書、研究発表を行っていくために必要な用紙やインク等の物品を購入する計画である。
|