研究課題/領域番号 |
18K02573
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
古川 敦子 大阪教育大学, グローバルセンター, 准教授 (80731801)
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研究分担者 |
小池 亜子 (田中亜子) 国士舘大学, 政経学部, 准教授 (10439276)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 外国人児童生徒 / 日本語指導 / 個別の指導計画 / 特別の教育課程 |
研究実績の概要 |
本研究は、外国人児童生徒の日本語指導に関する「個別の指導計画」の作成・実践・評価という一連のプロセスにおいて、教員に必要となる観点、および配慮を具体的に示し、指導計画を効果的に実践に活用する支援方法の提案を目指している。研究初年度である2018年度は、外国人児童生徒が多数在籍している地域を主な対象として「個別の指導計画」の作成状況と、教員が感じる作成上の困難や課題を明らかにすることを目的に、以下の調査を実施した。 (1)日本語指導担当者への聞き取り調査:本研究の主たる研究協力地域である群馬県内(伊勢崎市、大泉町)の小中学校で、日本語指導を単としている教員・指導者に聞き取り調査を行い、指導計画作成時に留意した点、書き方に難しさを感じた個所、実践で課題となった事柄について意見を聞くとともに事例を収集した。作成には日本語指導担当教員のみが関わることが多く、教員・指導者間の連携体制の構築に課題があることが示された。 (2)質問紙調査:群馬県伊勢崎市教育委員会の協力を得て、2019年2月に行われた日本語指導担当教員の研修に参加し、個別の指導計画の作成・活用に関する質問紙調査を実施した。伊勢崎市は日本語教育研究班の教員が作成した「個別の指導計画」様式1と2を使用しているため、質問項目はその書式を基にして上記の聞き取りの結果を踏まえて作成した。作成時の教員・指導者間の連携体制、および、計画の実践への活用等に関する意見が収集された。 (3)現地調査(小中学校訪問・日本語指導場面の見学):外国人児童生徒の受入れに独自のシステムを採用している福岡県福岡市、静岡県袋井市の学校を訪問した。地域ごとの個別の指導計画の書式(および活用の有無)について担当者の意見を聞き、日本語指導の資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、当初の計画通り、主に「個別の指導計画」作成上の課題を抽出するための調査を行うことができた。これまでの共同研究の実績から、研究協力者である教員・教育委員会や研究協力地域との連携体制が取れていたため、速やかに調査依頼をすることができ、円滑に開始できた。 研究代表者が2019年4月に所属機関を異動した関係で、2018年度末に実施予定だった現地調査が一地域分、次年度に持ち越されることになったが、その他の調査は予定通り実施できている。特に教員対象の質問紙調査は伊勢崎市の教育委員会の協力を得られ、教員研修の機会を活用して行うことができ、回収も委員会を通して行うことができた。また、聞き取り調査では、現在日本語指導を担当している教員の他、指導主事や校長経験者からも意見を聞けたことにより、本研究課題の遂行により広い視点が得られたと考えられる。 全体として初年度はおおむね順調に進められたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、まず2018年度の調査の結果を学会・研究会で発表する。またその結果は調査報告としてまとめ、大学の紀要等で公表する予定である。 現地調査、および教員を対象とした調査は継続して実施する。特に2018年度末から持ち越しとなった調査については夏以降に実施する予定である。 2019年度には、「個別の指導計画」の作成・実践・評価と振り返りという一連のプロセスに関して、縦断的な調査を行う計画である。「教員が児童生徒を見取る観点」「指導の際に重視する点」「意識が向きにくい点」などとともに、教員にとって必要となる知識や情報についても観察・記録していく。主たる調査対象地域は群馬県伊勢崎市であり、既に複数の日本語指導担当教員に調査協力を依頼している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由):調査協力者の協力を得られたため、聞き取り調査にかかる費用として計上していた分が軽減された。また、データの入力も補助者を雇用せずに済ませることができた。研究代表者が2019年度に所属機関を異動(大阪から東京)したため、2018年度末に予定していた調査は2019年度夏以降に持ち越しとなった。 (使用計画):研究2年目の2019年度には、持ち越しとなった調査実施のため、調査対象地域(中部~関西)への旅費が計画より多く必要になる。そのための交通費やデータ入力費として使用する。また2019年度の日本語指導者研修会、学会参加・発表、現地調査の交通費としても使用する予定である。
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