研究実績の概要 |
本研究の目的は,中学校の技術・家庭科技術分野(以下,技術科)における中学生の技術評価力育成に向けた指導方法および題材・教材の提案を通して3年間のカリキュラムの構築を目指している。そのために本研究では,(1)萌芽的技術に対する中学生の意思決定および技術評価観点の把握,(2)意思決定間(肯定・否定・葛藤)における着目度の高い技術評価観点の検討,(3)技術評価力育成に向けた指導方法および題材・教材の提案,(4)3年間を見通した技術評価力育成に向けた体系的なカリキュラムの構築 という4つの下位課題を設定した。このうち,本年度は,萌芽的技術に対する中学生の意思決定および技術評価観点の把握及び意思決定間(肯定・否定・葛藤)における着目度の高い技術評価観点の検討に取り組んだ。その結果,技術科4内容に関連する萌芽的技術に対する中学生の技術評価における意思決定に関わる判断軸が把握された。具体的には、「森林資源の活用する技術の今後の在り方」では,「歴史的・文化的な視点」と「現実的課題憂慮の視点」が,「遺伝子組み換え技術の今後の在り方」では,「生産・経済活動の視点」と「消費・社会的影響の視点」が,「原子力発電の今後の在り方」では,「リスク管理・技術発展の視点」と「リスク回避・現状維持の視点」が,「SNSの今後の在り方」では「個人・ユーザの視点」と「社会・ノンユーザの視点」がそれぞれ意思決定の判断軸になっていることが明らかとなった。次年度は,把握された技術評価時の実態をより詳細に分析するとともに,授業実践に向けた題材及び教材の開発・提案に取り組む予定である。
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