研究課題/領域番号 |
18K02581
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
藤田 詠司 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (60219003)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | テーマ学習 / 小学校 / 教員養成 / インドネシア |
研究実績の概要 |
ジョグジャカルタの公立小学校1と私立小学校1,北スラウェシ州公立小学校4を訪問し,テーマ学習による授業観察および教員へのインタビューを行うことで,テーマ学習の導入状況を調査した。テーマ学習の正式導入時期が学校によって異なること,教科書以外の副読本等は使用しないという規定への対応が学校によって異なること,特定のテーマを扱う際にどの部分がどの教科であるかわからない「融合的」授業が求められているが実際は複数教科の寄せ集め的授業が多いことが明らかになった。卒業時の評価は国家試験のみではなく学校独自の評価も行うこともわかった。そのため,子どもたちは国家試験合格と学校評価でよい評価を得ることの両方を念頭に置きながら授業を受けていることが予想される。テーマ学習に対する意識は学校・教員によって異なる。2013年カリキュラム導入当初から学校ぐるみでテーマ学習に取り組み,全教員がテーマ学習を重要とみなしている学校もあれば,テーマ学習では個々の教科で習得がめざされる知識が十分身につかないという理由でテーマ学習に批判的な教員もいる。 ジョグジャカルタのPGRI大学を訪問し,小学校教員養成におけるテーマ学習に関する教育と,テーマ学習に関する教員研修についてインタビューした・第4学期から第6学期の3学期間,各学期2コマづつ,テーマ学習のカリキュラムと指導法の科目を開講している。これは,他の大学と同程度のボリュームであるとのことである。テーマ学習に関する理論の学習と,テーマ学習の教科書づくりなどの実践的な学習をバランスよく組み合わせている。教員研修は,各県1名の教員がジャカルタで研修を受け,その教員が県にもどってワークショップを開催することで実施している。ワークショップは,通常,1年に1回,学校が休みの期間に開催される。教員がワークショップに参加するかどうかは,勤務校が決定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人口密度の高いジャワ島にある比較的大きな都市であるジョグジャカルタと,人口密度の低い北スラウェシ州の小規模自治体であるビトゥンを訪問し,中規模の学校と小規模の学校,テーマ学習に積極的な学校とそうでない学校においてテーマ学習実施状況の調査を行うことができた。その結果,「研究実績の概要」で記したようなテーマ学習への取り組みが多様である実情が明らかになった。また,小学校教員養成を行っている大学を訪問し,テーマ学習に関する科目を担当している教員インタビューすることで,「研究実績の概要」で記したようなテーマ学習に関する教員養成および教員研修の実情を把握することができた。いずれも,並行して収集しているテーマ学習の教科書を分析するために必要な調査であり,予定通り実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
収集したテーマ学習教科書の分析を進める。 首都圏の複数公私立小学校と北スラウェシ州の複数公私立小学校について,引き続きテーマ学習にかかわるカリキュラムおよび授業実施状況を調査する。 それらの学校について,国家試験結果および学校による評価データの収集,非認知的能力検査の実施,これらのデータをもとにテーマ学習による認知能力および非認知能力育成の効果の測定を開始する。 大学における教員養成教育においてテーマ学習指導法がどのような目的・内容・方法によって実施されているかを実地調査する。
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