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2018 年度 実施状況報告書

コンピュータプログラミング学習の神経基盤に関わる基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02589
研究機関大妻女子大学

研究代表者

本郷 健  大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (60245298)

研究分担者 鹿野 利春  国立教育政策研究所, その他部局等, 教育課程調査官 (20770168)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードコンピュータプログラミング学習 / 神経可塑的変化 / プログラミング的思考 / MRI / fMRI / 拡散テンソル画像
研究実績の概要

新学習指導要領では、「プログラミング的思考」の育成を目指して、小中高等学校の全ての段階でプログラミング学習が必修化される。しかし、コンピュータプログラミング学習には、言語や数学など記号の操作力,論理的思考力,目標達成など、ヒトの認知機能を支える能力が関わっていると考えられるが,「プログラミング的思考」に比較的特異的な能力あるいは神経基盤が存在するのか,あるいは記号の操作力など他の認知能力の基盤を流用しているのかは、過去に神経科学的研究がほとんど存在しないため明らかでない。そこで本研究では、コンピュータプログラミング学習が脳の神経可塑的変化に及ぼす影響及び学習過程が脳活動に与える影響をMRI等により測定し、これら一連の研究成果を通して、プログラミング教育の教育的意義や指導法を考察する基礎資料の収集を試みる。
本年度は、30名のプログラミング未学習者を集め、うち実験群(22名)は15回の授業に加えて11回の講習会を受け、プログラミングの中間試験および事後試験、さらに最終作品の提出を義務付けた。プログラミング学習をしない統制群は8名であった。実験群は学習の前・中・後の3回、統制群は学習の前後の2回、脳構造(T1、拡散強調画像)、脳機能(安静時脳機能活動)を撮像した。さらに、学習の前後に学習やプログラミングに関する興味・関心等に関するアンケート、学習前の知的機能検査を行った。
その結果、知的機能検査および統制群と実験群の脳構造の比較(横断分析)では有意な差は見受けられなかった。これは統制群の人数が少数であったためと考えられる。一方、昨年度の実験群のデータと合わせた34人の学習前後の変化(縦断分析)では、脳構造に有意差傾向がみられる部位のあることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プログラミングの初学習者に対して、長期間にわたる学習活動を継続して実施でき、学習前後の脳構造の変化を捉えることができた。撮像およびデータ分析に当たっては、共同研究機関との連携のもと、当初予定した被験者数を十分に満たす撮像が実現できた。
その結果、コンピュータプログラミング学習が神経可塑的変化に及ぼす影響を解明しつつあるため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、学習内容や学習時間、学習行動記録、アンケート調査、プログラミングの試験結果、プログラミングによる最終作品の評価、脳構造のデータを組み合わせた詳細な統計的解析を実施していく予定である。
さらに、学習時における脳活動をfMRIにより測定する方策を推進していきたい。学習の初期に予想されるプログラミング言語の習得場面と学習が進んだ段階における知識を活用する問題解決場面などを想定した課題を設定して、学習時における脳の賦活の測定と分析を推進していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究では、被験者数の確保が重要であるため、余裕をもった被験者数確保の予算化をおこなった。しかし、運用のなかでそれを下回る人数となった。また、講習会の講師や補助員の予算に余裕が生じた。次年度ではこれらの予算を、より充実した実験環境のために使用する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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