研究課題/領域番号 |
18K02590
|
研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
大家 まゆみ 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00385379)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 確率推論 / 中学生 / 数学 / 場合の数 / 順列と組み合わせ / ベイズ型推論 |
研究実績の概要 |
単純な課題であっても中学生が条件付き確率課題(ベイズ型推論)を解くのは難しい。ベイズ型推論がなぜ難しいのかを明らかにするためには、ベイズ型推論をできるようになる過程を、知的操作の発達過程に位置づけることが必要であろう。そのため本研究では、条件付き確率課題を理解できるようになる前段階として、その基礎となる順列と組み合わせを扱う確率推論課題の理解に注目した。順列課題nPrと組み合わせ課題nCrはともに、rの数が増えると難易度が高くなることが知られている。特にr≦2の場合は小学校高学年でも数え上げなどインフォーマルな形式で正答する者が多いが、r>2になると中学3年生でも正答率が低い。本研究では平成30年度は公立中学校に通う中学生を対象に質問紙調査を行い,中学生が誤りやすい確率推論課題を検証した。その結果、r≦2の場合は立式できなくても正答できるが、r>2になると立式できないと正答できなくなるため、正答率が下がることが示された。 当初、平成31年度に実施する予定だった「中学生の確率推論の誤りやすさに関する質問紙調査」を平成30年度に行うことができた。そのため、中学校での調査結果の統計処理を平成30年度に行うことになり、IBM SPSS Statistics ver.24を用いたデータ入力および統計分析、IBM SPSS Amos ver. 24を用いた共分散構造分析モデリング、 Excelを用いた表とグラフの作成など、統計処理に必要な作業を行った。また、データを早い段階で収集したため、国内の学会で発表する機会が増えた。研究成果は日本教育心理学会、日本心理学会、日本発達心理学会で発表した。また、いずれ欧文で研究成果を公開するために、2019年3月に香港市立大学のAnna Hui助教授との研究打ち合わせを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、平成31年度に実施する予定だった「中学生の確率推論の誤りやすさに関する質問紙調査」を平成30年度に行うことができた。そのため、中学校での調査結果の統計処理を平成30年度に行うことになり、IBM SPSS Statistics ver.24を用いたデータ入力および統計分析、IBM SPSS Amos ver. 24を用いた共分散構造分析モデリング、 Excelを用いた表とグラフの作成を行った。こうして、統計処理に必要な作業を行った。また、データを早い段階で収集したため、国内の学会で発表する機会が増えた。研究成果は日本教育心理学会、日本心理学会、日本発達心理学会で発表した。また、いずれ欧文で研究成果を公開するために、2019年3月に香港市立大学のAnna Hui助教授との研究打ち合わせを行った。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,中学校と高校の生徒への質問紙調査および中学校と高校の数学教師へのインタビュー調査を予定している。 まず,平成30年度は公立中学校に通う中学生を対象に質問紙調査を行い,中学生が誤りやすい確率課題を検証した。次に、平成31年度には中学校と高校の数学の授業を担当している数学教師を対象にインタビュー調査を行い,確率の理解でつまずきやすい箇所を把握する。その後,中学校と高校の学習指導要領および数学科の教科書の「資料の活用」および「確率・統計」から,中高生が誤りやすい項目を特定した上で,ベイズ的推論課題を作成する。加えて、高校生を対象に質問紙調査を行い,ベイズ課題の信頼性と妥当性を検証する。さらに,高校生の確率推論の誤りやすさを測定するための質問紙調査を行い,ベイズ課題の信頼性と妥当性を検証する。 最後に,研究に参加した教師6名と協働で確率推論の誤りやすさを特定し,認知科学,数学教育と教育心理学を融合した確率推論のプロセスをモデル化する。 調査結果については,統計解析ソフトIBM SPSS Statisticsを用いて分析を行い,中高生の確率推論の誤りやすさを統計的に描き出し,確率推論の発達的プロセスを明らかにする。
|