研究課題/領域番号 |
18K02594
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研究機関 | 一宮研伸大学 |
研究代表者 |
肥田 武 一宮研伸大学, 看護学部, 助教 (30774955)
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研究分担者 |
三品 陽平 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (00710849)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | チームとしての学校 / チーム学校 / 専門職間連携教育 / IPE / 専門職を超えた連携教育 / TPE / アクションリサーチ / 教師教育 |
研究実績の概要 |
本研究は文部科学省の提唱する「チームとしての学校(チーム学校)」の理念に共感し、その実現を目指すアクションリサーチである。手立てとして医学教育で成果を得ている教育プログラム「専門職間連携教育(IPE)」(あるいは発展版である「専門職を越えた連携教育(TPE)」)の学校教育版を開発・実施し、その効果検証と課題探索を行う。 2018~2019年度は、将来チーム学校の成員となる、各職種を目指す学生に、チームワークを体験的に学んでもらうための「シナリオ」を作成した。計画に比して難航したものの、これには教諭2名・スクールカウンセラー2名・看護師1名・スクールソーシャルワーカー1名からの専門的助言を反映して、教材としての適切性を高めることができた。またシナリオの登場人物(不登校生徒と母)を演じてくれるボランティア学生のトレーニングを行った。しかし以上の準備段階を経て、いよいよ臨もうとしたプログラム実施は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により倫理的観点から断念せざるを得なかった。 2020年度は、様子を注視していたものの、確たる回復の見通しは持てなかったため、不確実な状況に対応すべく計画を再検討した。結果として、プログラム実施の方法を対面式からオンライン式へと変更することを決め、その効果を高めるために必要だと考えられた動画教材の作成(複数)とオンラインツールの選定を進めた。大きな方針変更によって時間を要したものの準備が整い、2021年2月にプログラムの第1回実施に至った。これには教育学生1名・心理学生1名・看護学生1名が参加して専門職間連携を体験し、事後インタビューでは興味深い語りを得られた。 2021年度は、5月現在で上記データの分析を進めており、月末にはプログラムの第2回実施を控えている。以降も、随時得られるデータの分析と、プログラムの第3~5回実施を並行して進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1に2018年度に「シナリオ」を仕上げるために必要な助言をいただく専門職の確保が難航したからである。ただし2019年度には、残されていたスクールソーシャルワーカーの助言も得られシナリオをまとめることができた。 第2に新型コロナウイルス感染症が想定外に流行したからである。2019年度末には、参加学生と会場を確保してプログラムの第1回実施を目前に控えていたが、状況の深刻さから断念せざるを得なかった。 第3に不確実な状況に対応すべく計画を大きく変更(プログラム実施方法を対面式からオンライン式に)したからである。しかしプログラムの提供者と参加者とが直に顔を合わせられない制約を克服するために、画面上でも視覚に訴えやすい動画教材を複数作成し、結果的にプログラム全体の質を高めることができたと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度末にプログラムの第1回実施に到達できた。準備は既に整っているし、オンライン式に変更したことで新型コロナウイルス感染症がどのような状況であっても対応できるため、2021年度は第2~5回実施を計画的に進める。 またプログラム実施の各回において、新たなデータを累積的に取得するため、遅れないように都度の分析を行う。分析を通して得られた気づきを必要に応じて次回の実施に反映できるため、アクションリサーチとして生産性を高められる。 研究の終了時には分析を十分に深め、成果をまとめる。これによって「チーム学校」の実現に微力ながら貢献したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1に前述の理由(主に新型コロナウイルス感染症の蔓延と、それに対応するための計画の大幅な変更)により、研究が遅れたためである。これにより支出が先送りになった。 第2に計画の大幅な変更(プログラム実施の方法を対面式からオンライン式に変えた)により、支出すべき内容を再検討しているためである。 次年度はプログラム実施とデータ採取の回数が増えるため、謝礼や外部委託に多くの費用が必要となる。分析が佳境に入るため、書籍やソフトウェアにも費用を要する。またオンライン式ならではの予期せぬ困難に対応するために、新たな機材が必要となるかもしれない。これらをよく検討しながら、費用を有効に支出したい。
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