研究課題/領域番号 |
18K02598
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
西川 潔 関西福祉科学大学, 教育学部, 准教授 (90785536)
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研究分担者 |
濱田 博文 筑波大学, 人間系, 教授 (20212152)
佐古 秀一 鳴門教育大学, その他部局等, 副学長・教授 (30153969)
大脇 康弘 関西福祉科学大学, 教育学部, 教授 (60135762)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 校長 / リーダーシップ / 教職員の主体的学び / エンパワメント協働 / 自立支援 / 統率優位 / 信頼構築 |
研究実績の概要 |
「チーム学校」の核となるのは校長であり、今、まさに校長のリーダーシップのあり様が問われていると言える。 本研究テーマでもある教員の主体性を促す校内研究システムの構築においても、校長のリーダーシップが重要な役割を担っているのは言うまでもない。そこで、国内外のこれまでの校長のリーダーシップ研究をレビューし、校長のリーダーシップにかかる尺度を作成した。それをもとに全国の小中学校の校長を対象に校長のリーダーシップに関する意識と行動についての調査を実施した。 その結果、我が国の小中学校の校長は次のようなリーダーシップを重視していることが明らかになった。 1点目はどの年齢層においてもエンパワメント協働型が最も高く、次いで自律支援型、統率優位型と続き、最も低かったのが信頼未構築型であった。エンパワメント協働は「校長のマネジメントとは教職員に内在するエネルギーを引き出すことである」など、教職員のエネルギーを引き出し、自信と効力感を導き出すリーダーシップと言える。 2点目は自律支援型において唯一、年齢層によって違いが見られた点である。具体的に述べると、50歳~54歳と55歳~59歳の間には差はなかったが、60歳以上の校長は50歳代よりも低くなる傾向が認められた。つまり60歳を超えると自律支援に関する意識は50歳代の校長より低くなっているということである。自律支援型とは「校長が提示する学校経営方針に沿って教職員が教育活動を行うよりも、教職員が主体的に考えて教育活動を行うことが重要である。」等、教職員の主体性を重視し、自律的な教職員の育成に主眼をおいて支援する校長のリーダーシップである。 以上から、我が国の多くの校長は教職員のエネルギーを引き出すことに努め、さらに60歳以下の校長は特に自律的な教職員の育成に力を注いでいることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
校長のリーダーシップにかかるこれまでの国内外の先行研究のレビューを行い、校長のリーダーシップについての歴史的変遷を調べるとともに、現在、どのようなリーダーシップを必要とされているのかを追究した。また米国で行われたUniversity Council for Educational Administrationにも参加し、海外における校長のリーダーシップについての研究も行った。このような研究に基づいて我が国の校長は、日常の教育活動でどのような意識をもってリーダーシップを発揮し、どのようなリーダーシップ行動を取っているかの調査を行った。そして「小中学校の校長が重視するリーダーシップについての意識傾向 -現在求められるリーダーシップ研究からの一考察-」を題目に論文にまとめると共に、2019年、2020年には日本教育経営学会において研究成果を発表した。校長のリーダーシップ行動については現在、論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
校長のリーダーシップ行動については、全国の小中学校の校長を対象に行った調査の分析を終え、現在論文を執筆中で、2021年度中に学術誌に掲載する予定である。さらに、教職員の立場から見た校長のリーダーシップについても全国の小中学校の教職員を対象に調査を終えており、今後、その分析を行い、論文にまとめる予定である。今後、さらに本テーマに沿って、校長のリーダーシップのあり様について研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた人件費、謝金にかかる支出が研究推進の一部変更により必要としなかったため。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、参加を予定していた学会等に参加できなくなったため。
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