今年度の研究成果は、以下のとおりである。 第一に、研究協力者(鈴木健司教諭)との協働により「構成活動」を原理とした音楽科表現領域や鑑賞領域の学習プログラム案を開発した。開発した学習プログラム案は、次の通りである。1. 音楽科鑑賞領域の単元「ギターの音色を意識して『アランフェス協奏曲』を味わおう」(中学校第3学年)。2. 音楽科表現領域音楽創作分野の単元「イメージを表現する旋律を創作しよう」(中学校第3学年)。3. 音楽科表現領域歌器楽野の単元「リズムパターンを意識して《カントリー・ロード》の伴奏をギターで演奏しよう」(中学校第3学年)。4. 音楽科表現領域音楽創作分野の単元「箏の奏法による音色を意識して音楽を創作しよう」(高等学校第1学年)。5.音楽科鑑賞領域の単元「多媒体を意識して国内外の舞台芸術を味わおう」(高等学校第1学年)。以上の 学習プログラム案に基づく研究協力者による授業実践を参与観察し、授業実践の諸記録を収集した。 第二に、授業研究を通して、個のイメージの発展過程を成立させる重要な要因として教師の働きかけがあり、特に①思考やイメージを触発する発問、②個々の学習者の内的な思考・イメージ・感情を可視化させ、学習者同士や学習者と教師間で共有できるようにする道具(板書・プレゼン・楽譜など)、③学習者の音楽的思考を焦点化する教科内容の明確化と学習プログラム案への具体化が、個の音楽的イメージの充実発展に大きな影響を及ぼしているという洞察を得た。 第三に、授業研究を通して得た知見を、日本教科内容学会や日本教育方法学会での口頭発表、日本教科内容学会原著論文や東海学園大学教育研究紀要論文によって公開した。 2018-2020年度3年間の研究成果を「研究成果報告書」としてまとめた。
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