研究課題/領域番号 |
18K02608
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小口 祐一 茨城大学, 教育学部, 教授 (70405877)
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研究分担者 |
藤井 良宜 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10218985)
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
松村 初 茨城大学, 教育学部, 准教授 (60700557)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統計教育 / データサイエンス / コンテンツ開発 / オープンデータ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,オープンデータを利活用したデータサイエンス教育のコンテンツ開発を推進し,実験授業を通して生徒の活動や反応を分析して,その効果を検証することである。データサイエンスとは,データの分析に基づく革新的な発見や新しいサービス提供など,知識基盤社会を担う人材として必要なスキルを育成することを目指す統計科学のことである。平成30年度の目的は,データサイエンス教育のカリキュラムを策定することであった。主な研究業績は,次のとおりである。 データサイエンス研究の調査・整理:データサイエンス研究および統計教育研究の学術的知見や,企業による人材育成プロジェクトなどを調査・整理した。たとえば,独立行政法人統計センターは,現在,データサイエンス人材育成事業を行っている。また,総務省統計局は,一般市民を対象に,統計オープンデータの分析や利活用を学習するためのオンライン講座「誰でも使える統計オープンデータ」を開講している。この講座では,e-Statの利用方法,地図機能の利用方法などから,企業によるオープンデータを利活用した意思決定まで,広範な内容が扱われている。 諸外国の統計教育カリキュラムの調査・整理:先進的な統計教育を行っているニュージーランドのカリキュラムおよび教材を調査・整理した。ニュージーランドの初等・中等教育の期間は,5歳から18歳までの13年間である。カリキュラムは,学年をまたがる水準1から水準8までを枠組みとして,水準ごとにカリキュラムを設定している。 データサイエンス教育のカリキュラム策定:データサイエンス教育の目的に基づいて,統計的問題解決や意思決定のプロセスを通じたカリキュラム案を策定した。統計的問題解決のプロセスとしてPPDACサイクルを取り上げ,このサイクルに基づいた授業づくりを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,データサイエンス教育のカリキュラム案を策定した。現在までの進捗状況は,次のとおりである。 データサイエンス研究の調査・整理:データサイエンス研究および統計教育研究の学術的知見や,企業による人材育成プロジェクトなどを調査・整理した。たとえば,独立行政法人統計センターは,現在,データサイエンス人材育成事業を行っている。この事業では,「教育用標準データセット」を開発し,高校生や大学生などが公的統計データを利活用して分析する技術を競う「統計データ分析コンペティション」を実施して,データ分析の技術の涵養を推進している。また,総務省統計局は,一般市民を対象に,統計オープンデータの分析,利活用を学習するためのオンライン講座「誰でも使える統計オープンデータ」を開講している。 諸外国の統計教育カリキュラムの調査・整理:先進的な統計教育を行っているニュージーランドのカリキュラムおよび教材を調査・整理した。ニュージーランドの初等・中等教育の期間は,5歳から18歳までの13年間である。カリキュラムは,学年をまたぐ水準1から水準8までを枠組みとして,水準ごとにカリキュラムを設定している。指導内容は,「統計的な調査」,「統計的リテラシー」,「確率」の3つの内容で構成されている。 データサイエンス教育のカリキュラム策定:データサイエンス教育の目的に基づいて,統計的問題解決や意思決定のプロセスを通じたカリキュラム案を策定した。統計的問題解決のプロセスとしてPPDACサイクルを取り上げ,このサイクルに基づいた授業づくりを行った。第1に「PPDACサイクルのどの相に焦点をあてるか」,第2に「学習環境はICT利用可能か」,第3に「分析に利用できる統計手法は何か」という3つの観点で指導内容を系統化した。 平成30年度において,ほぼ研究計画のとおりに研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度以降は,オープンデータを利活用したコンテンツ開発を進める。そして,ARTISTプロジェクトの問題やSATS(統計に対する態度)の調査票などを,わが国の学校数学カリキュラムの内容と照合し,データサイエンスのスキルの評価問題を作成する。これらを基盤にして,開発された教育コンテンツによる実験授業を研究協力校等で実施し,効果を検証する。令和元年度の目的は,オープンデータを利活用したコンテンツ開発を進めることである。これまで,先行研究を整理し,データサイエンス教育の目的,内容,方法の枠組みについて,研究組織で共通理解した。本年度は,この枠組みに基づいて,コンテンツ開発に焦点をあてて研究を進める。 オープンデータを利活用したコンテンツ開発:オープンデータにアクセスし,それを利活用したコンテンツを開発する。開発されたコンテンツを中学生および高校生を対象にした授業に活用できるように,発問系列を作成する。 データサイエンス教育のカリキュラム案との照合・体系化:開発されたコンテンツをデータサイエンス教育のカリキュラム案と照合し,コンテンツ一覧表として体系化をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の目的は,データサイエンス教育のカリキュラムを策定することであった。その際,オープンデータにアクセスして,それを利活用した教材を調査・整理し,生徒がグループでコンピュータを利用できる環境におけるカリキュラムを検討する予定であった。そのため,平成30年度において,コンピュータ3台分およびグラフ表示ソフトウェアの費用を請求した。しかし,平成30年度は,文献調査を中心に調査・整理を実施したため,次年度使用額が生じた。また,学会発表の際に研究打ち合わせを行い,その際の旅費,資料の複写費,通信費を使用しなかったため,次年度使用額が生じた。 令和元年度の目的は,オープンデータを利活用したコンテンツ開発を進めることである。これまで,先行研究を整理し,データサイエンス教育の目的,内容,方法の枠組みについて,研究組織で共通理解した。本年度は,この枠組みに基づいて,オープンデータにアクセスして,それを利活用したコンテンツの開発を進める予定のため,平成30年度に請求したコンピュータ3台分およびグラフ表示ソフトウェアの費用を令和元年度に使用する計画である。
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