研究課題/領域番号 |
18K02611
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
竹鼻 ゆかり 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30296545)
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研究分担者 |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
副島 賢和 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (00649436)
高橋 浩之 千葉大学, 教育学部, 教授 (20197172)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 病弱教育 / 支援行動 / 研修プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は,病気の子供と周囲の子供たちが共に学び育ちあうための教員研修プログラムの開発(作成,実施,評価)を目的としている。初年度にあたる今年度は、調査研究により、病気の子どもに携わる周囲の人々の意識を明らかにした。具体的には以下の4点を実施した。 1)病弱教育に携わる教員にインタビューを行い、病気の子どもに携わる教師の成長プロセスを検討した。その結果、病弱教育の教師は、認知的成長と精神的成長の双方の成長を遂げていることがわかった。 2)障害のある子どもが在籍する小学校の学級担任7名に対しインタビューを行い、小学校において学級担任は、発達障害の子供に対しどのような支援を行っているか、その支援プロセスを検討した。その結果、学級担任の根底にある教師自身の揺るがない教育観を基に、発達障害の子供や環境に支援が行われ、さらに支援体制づくりが行われていた。さらに、担任による合理的配慮の観点から、発達障害の子供一人一人に合わせた支援が行われていた。 3)20代の若者の、病気の人に対する認識や支援行動に影響を及ぼす心理社会的要因を検討するため質問紙調査を実施した。調査は、全国の20代の若者500人を対象とし、A社のWebアンケートを用いておこなった。心理社会的要因としてとりあげた若者の発達資産は「社会や集団における自己認識」「社会的能力」「自己肯定感」の3つの構造を示すことができた。また、「経験による影響」「自己肯定感」「病気の人に対する支援行動」について女性は男性に比べ有意に平均点が高くなっていた。さらに、20代の若者は、「病気の経験」「病気に対する認知」「社会的能力」「自己肯定感」が高いほど病気の人に対する支援行動が取れることがわかった。 4)教員研修プログラム作成のためのケースメソッド研修会を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するためには、まず教員の病気や病気の子供に対する認識や態度ならびに影響要因を明らかにする必要がある。そこで初年度は、教員や若者の意識調査を中心に行うことができた。また研修プログラム作成のための試行的研修会を開催した。 そのため、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目には、前年度の調査結果を学会発表等による成果物としてまとめるほか、中学・高校生の病気や病気の子供に対する認識や態度,その影響要因を明らかにする予定である。さらに、教員研修プログラムの試案を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定であった調査について、検討課題が多く次年度に実施を延期した。そのため、次年度にWebによる大規模調査を予定しているため、その経費として計上する。
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