本研究は,地方創生の観点から,次代の郷土を創る人材に求められるコンピテンシーを明確にした歴史教育カリキュラムモデルの開発を目的としている。 2021年度は,コンテンツとコンピテンシーの関係を相互に関連し合いながら共に育成されていくもので,相互依存的かつ促進的な関係とし,「コンピテンシー・ベース」のカリキュラムを,コンテンツとコンピテンシーを結び付け有機的に統合し,共に育成することを目指すものであるとし,その本質的な意味を明確にするために「コンテンツと結び付いたコンピテンシー」の育成を基盤としたカリキュラム(Curriculum Based on Fostering Competency Linked to Content 【CBFCLC】)と再定義した。 その上で,2019年度に示した,「総体としてのコンピテンシー」の内的構造モデル(社会科における社会認識体制を含む公民的資質の基礎の内的構造モデル)を基に,Web調査法(web survey)を用いてアンケート調査を行い,地域における独自性や共通性を分析し,「総体としてのコンピテンシー」の内的構造モデルを精緻化するとともに,開発した単元構想モデルを基にした授業デザインに活かしていった。さらに,2020年代を通じて実現を目指す「令和の日本型学校教育」の姿である「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的充実を踏まえ,「個別最適な学び」の要素を「指導の個別化」と「学習の個性化」,「協働的な学び」の要素を「協働」とし,これらの要素を子どもたちの「活動」の状態と捉え,このような状態の「活動」を,授業及び単元構成において適切に組み合わせることを「活動」のハイブリット化とし,それにより子どもたちの学習が拡張し「個別最適な学び」と「協働的な学び」の成果が往還することで一体的に充実していくことを目指した授業実践を行った。
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