研究課題/領域番号 |
18K02616
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
村田 透 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30469473)
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研究分担者 |
新関 伸也 滋賀大学, 教育学部, 教授 (80324557)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 図画工作 / 幼児教育 / 造形遊び / 探究 / 幼小連携 / 幼小接続 |
研究実績の概要 |
本研究では、4年間の研究期間を通し、研究チーム(代表者、分担者、協力者:幼稚園・小学校の教員)が幼児・児童を対象とした「造形遊び」を実践・記録・分析をする質的研究を行い、以下3点を明らかにする。①幼児期や児童期の「造形遊び」における探究行動特有の学習過程。②幼児期から児童期を通した探究行動の質的変遷や連続性。③「造形遊び」題材に特有な探究行動、および題材相互の系統性や関連性。以下が平成30年度の研究実績である。 1.幼稚園における「造形遊び」の題材開発・実践。研究チームが連携・協力して「造形遊び」の題材開発・実践した。具体的には、Ⅰ期(4~8月)においてはジョイント・マットを用いた「造形遊び」題材、Ⅱ期(9~12月)においては石鹸クリームづくりの「造形遊び」題材を随時・継続的に実践をした。 2.幼児の探究行動の記録・分析・考察。事例についてビデオやカメラを用いた周辺的・関与的な観察・撮影をして実践を記録した。事例について研究チームで情報を共有すると同時に、エピソード記述を作成した。その記録を基に相互行為分析をして、探究行動の分析・考察を行った。 3. 幼児の探究行動の報告・省察。幼児の探究行動について、滋賀大学教育学部附属幼稚園の公開保育(2018年5月、9月など)後の協議会、公開研究会を活用して報告(題目「造形活動における問題発見、問題解決」、2018年11月15日)して、省察を行った。 4.成果発表。本年度の研究成果について、学会口頭発表(題目「「造形遊び」における子どもの探究行動―幼児期の「造形遊び」の事例より―」、第41回美術科教育学会・北海道大会、2019年3月26日)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼稚園における「造形遊び」の題材開発・実践について、当初の計画では各年度のⅠ期(4~8月)、Ⅱ期(9~12月)、Ⅲ期(1~3月)の各期に1つの題材を行うとしていたが、研究代表者の所属大学業務の都合により、Ⅲ期の実践ができなかった。ただし、Ⅰ期・Ⅱ期に行った実践から新たな知見を得ることができ、研究1年目には予定していなかった学会口頭発表として成果発表を行うことができた。 幼児・児童の探究行動の記録・分析・考察について、研究チームで情報を共有することを努めているが、研究チームのの業務時間や内容の都合上、情報共有にはタイムラグが生じる場合があった。ただし、随時・継続的に実践や観察を重ね、エピソード記述による報告を通して、幼児の日常の様子や事例における詳細な行為・発話を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、幼児を対象とした研究であったが、次年度より児童を対象とした研究を行う。主な研究計画は、以下である。 1.小学校における「造形遊び」の題材開発・実践。研究チーム(代表者、分担者、小学校教員)が連携・協力して「造形遊び」の題材開発・実践する。具体的には、各年度のⅠ期(4~8月)、Ⅱ期(9~12月)、Ⅲ期(1~3月)の各期に1つの題材を行う。実践先は滋賀大学教育学部附属小学校である。 2.児童の探究行動の記録・分析・考察。事例についてビデオやカメラを用いた周辺的・関与的な観察・撮影をして実践を記録する。事例について研究チームで情報を共有すると同時に、エピソード記述を作成する。その記録を基に相互行為分析をして、探究行動の分析・考察を行う。 3.児童の探究行動の報告・省察。児童の探究行動について、実践前・後の担任教員とのミーティング、校内研究会や公開研究会を活用した報告を行い、省察を行う。 4.成果発表。本研究と関係がある3つの学会(大学美術教育学会、美術科教育学会、日本美術教育学会)等にて、学会口頭発表や論文投稿を行い、研究成果を公表して研究への示唆を仰ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 「造形遊び」の実践的研究に用いる用具・材料について、ある程度まとまった数量で用意する必要があり、まとめて購入したことで予定よりも安く揃えることができたため残金が生じた。人件費・謝金について、研究協力者である学生が授業などの都合により人数を確保することができなかったため、残金が生じた。 (使用計画) 2019年度は、当初の計画通り、小学校での「造形遊び」を継続的に実践・記録・分析し、成果を発表する予定である。そのため予算を「造形遊び」の用具・材料や記録機材の購入、学会等に参加するための旅費・参加費、論文投稿料、研究協力者への謝金に充てるものとする。前年度の残金に関して、物品費に充てるものとする。
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