研究課題/領域番号 |
18K02618
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
土山 和久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00273821)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ドイツ職業学校 / 職業学校の国語科 / 職業学校カリキュラム / 言語コンピテンシー / コミュニケーション教育 |
研究実績の概要 |
2019年度の実績は、およそ以下の2つの論文に集約できる。一つ目は、「ドイツの職業学校における国語科(ドイツ語/コミュニケーション科)カリキュラムの特質(大阪教育大学国語教育学会編『国語と教育』第44号、pp.32-48)である。同稿は、本研究の目的「①職業学校の制度と役割と結びついた国語科教育の理念の解明」および「②職業教育を標榜する国語科カリキュラムの解明」に取り組むものであり、ドイツ・ノルトラインヴェストファーレン州の学校教育制度および当該カリキュラムの考察を行うことによって、次のことを明らかにした:(1)同州の職業教育学校機構は進路や専門分野に応じて多様な広がりをみせ、(2)それに応じて多様な国語科カリキュラムが編まれている。(3)コンピタンシー(資質・能力)が明確に打ち出されたカリキュラム設計になっている。 もう一つは、「ドイツ職業学校における国語科教育の実践―職業学校用教科書の特質―」(中国四国教育学会編『教育学研究紀要』第65巻、pp.191-196)であり、これは本研究の目的「③教科書教材の特殊性の解明」に応じるものである。本稿では、職業学校用教科書教材のうち主に「職業の日常におけるコミュニケーション」をテーマとする教材群を分析したが、それによって、(1)職業上のコミュニケーション状況を構築するすべが、実践知として構成されるよう工夫されている点、(2)コトバによって導かれる職業人としての社会性や自律性、といった教材特質を考究した。 以上2編の論文を執筆するに当たり、大阪国語教育研究会にて2回の発表を行い、また、中国四国教育学会第71回松山大会(2019.11/30-12/1)にて論文と同名の研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」に記載した研究活動を進めるまでは、おおむね順調な研究の歩みであったが、折からの新型コロナウイルスの流行により、年度末に予定していたドイツ・職業学校での授業観察が直前でキャンセルとなってしまった。これは、本研究の目的「④授業実践の観察と分析」に対応する企画であり、その部分で、研究の進捗状況に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
現地視察および国内での実験授業の試行については、新型コロナウイルスの状況次第であるため、目下のところ流動的である。前者に対しては、一昨年度に実施した予備的調査の成果を再検討したり、後者に対しては、教科書教材研究の幅を広げて授業構想の多角化をはかったり、といった若干の軌道修正が必要となるかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で今年度予定していた現地調査がキャンセルとなったため。
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