研究課題/領域番号 |
18K02622
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
奥田 智 日本大学, 経済学部, 教授 (80781210)
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研究分担者 |
橋崎 頼子 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (30636444)
石井 宏典 奈良県立大学, 地域創造学部, 特任教授 (70845502)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 主権者教育 / 政治的中立 / 社会参画 |
研究実績の概要 |
平成28年に、奈良県公立高校3校の協力のもと、初めて有権者となった高校生3年生(約300名)を対象に、過去の授業の経験と投票行動に関するアンケート調査を実施した。また、同様の調査を平成29年度及び令和2年度に行った。その結果、「討論学習」をはじめとする「主体的な学習経験」と「投票行動」及び「社会参画」には一定の相関が見られた。 また、討論的な学習が普及しない理由を明らかにするため、奈良県内のすべての高校の協力のもと主権者教育担当教員を対象に「討論的な学習形態」「討論的な学習形態がとれない要因」「教員意識」「年間指導計画」「指導時間」等の領域の指導者調査を令和3年に実施した。討論的な学習が普及しない教員側の要因として「政治的中立への危惧」「指導計画の困難さ」「教員の意識の問題」などの課題が浮き彫りになった。 これらの調査結果を基に、「主体的な学習経験」と「投票行動・社会参画をはじめとする能動的な市民育成」において関係性がなぜあるのかを明らかにするとともに、討論的な学習が普及しない教員側の要因が解消できる、教育プログラム(政治的中立・主体的学習態度・討論形式・知的好奇心の喚起)を先行事例も踏まえながら、また、奈良県教育委員会の協力も得ながら、令和4年度中に開発を行う。 また、奈良県立教育研究所の協力も得て当該プログラムの教員研修を実施し普及を目指そうとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高校生の投票行動に一定の影響を与える可能性のある各地域の選挙管理委員会の広報活動に関わる調査活動を各方面の協力を得て順調に実施できているが、令和2年度中に実施予定であった指導者調査(奈良県内全高等学校)が新型コロナ感染の関係で未実施となったが、令和3年度に実施することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
学習者調査と指導者調査で得た調査結果を基に令和4年7月までに高校現場で実施可能な能動的な市民を育成するプログラムの開発を行う。また、プログラムを各高校で実施するための研修会を8月及び12月に行う予定である。これらの計画を実施するために、奈良県教育委員会・奈良県立教育研究所・奈良県高校公民科研究会の全面的な協力が得られている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染の影響で、海外調査及び研究協力校及び教育委員会への出張等が計画通り進まず、旅費等が未執行になったため。 令和4年度は海外調査は現時点において未定ではあるが、国内調査及び発表は予定通り行う計画である。
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