ヨハネス・イッテンの美術教育上の探究とバウハウス関係者との共通性について

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K02628
• 研究機関: 高知大学
• 研究代表者: 金子 宜正 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (20263965)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: ヨハネス・イッテン / バウハウス / イッテン・シューレ / 美術教育

研究実績の概要

本研究では、これまでの研究代表者によるヨハネス・イッテン研究をふまえて、イッテンの美術教育上の探究にかかわる資料（手書き資料及び著述等）をはじめ、バウハウス関係者にかかわる資料についての調査や分析をおこなうとともに、当時の教育活動など、本研究に関連のある周辺資料にも目を配りながら研究を進めている。
本年度に予定していた現地調査については、新型コロナウイルスの影響により延期を余儀なくされた。そのため、移動を伴わずに入手可能なバウハウスやイッテン・シューレ及びその周辺にかかわる最新の研究書籍や復刻資料等を収集するとともに、デジタル資料を含む関連資料を収集した。また、バウハウス創立100周年記念の関連企画から派生した出版等のプロジェクトにかかわる欧州の研究者とは、イッテンとその教え子とのかかわり等について、インターネット等を介して意見を交わした。
本年度は、主として、新たな収集資料の分析をおこなうとともに、これまで調査研究を進めてきたイッテン及びバウハウス関係者にかかわる関連資料及び著述等にみられる内容について、複合的に分析を進めた。それらを通して、イッテンの東洋思想などへの探究とバウハウス関係者との間にみられる類似領域へのつながりが、部分的ではあるが、浮かび上がってきた。本研究をさらに進めることにより、イッテンの美術教育上の探究とバウハウス関係者との間にみられるつながりや共通性について論じたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

これまでに研究代表者が進めてきたヨハネス・イッテン研究をふまえ、イッテンの美術教育上の探究にかかわる資料（手書き資料を含む）、バウハウス関係者にかかわる資料、当時の教育活動等の周辺状況にかかわる資料の研究調査を進めてきた。2019年度途中までは、計画していた現地調査を実施した。この間に、コレクションの所蔵先変更等により、新たに調査が可能になった資料について、その一部分ではあるが、現地調査をおこなうことができた。本年度は、これまでの調査で得られた関連資料等の内容分析をおこない、検討を進めてきた。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、昨年度末から本年度にかけては、現地調査の予定を延期せざるを得ない状況が続いており、研究が遅れている

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスのワクチンが徐々に普及しはじめ、今後の現地調査の可能性に希望が見えてきた。各国における新型コロナウイルスの状況を注視しながら、遅れている現地調査の時期を慎重に検討して対応する。これまで収集してきたイッテン及びバウハウス関係者にかかわる関連資料の分析と検討をさらに進めるとともに、今後の調査研究をふまえ、研究の成果をまとめたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響によって、本年度に予定していた現地調査の延期を余儀なくされたため、それにかかわる経費を次年度に繰り越すこととなった。