研究課題/領域番号 |
18K02630
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宮脇 真一 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (50803342)
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研究分担者 |
山本 信也 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (20145402) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 数概念形成 / 学習活動 / 理論的枠組 / 実証的研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、就学前と小学校低学年の算数を対象に、幼小の接続を図った数概念形成のための学習活動を開発することを目的としている。平成29年3月の学習指導要領海底においては、学校段階間の円滑な接続が「その他の重要事項」の中で指摘されている。 研究初年度の平成30年度は、数概念形成のための理論的枠組を構築した。その理論的枠組みに基づき、年長児から小学校入学直後の児童を対象とした3つの学習活動を開発した。 研究2年目にあたる平成31年(令和元年)度は、前年度に開発した学習活動を、公立小学校および私立の幼稚園で実際に子どもたちに体験させ、その状況を観察した。また、熊本大学と同附属小学校のコラボ事業「わくわく数楽ラボ」においても開発した学習活動を提供し、地域の幼稚園児、保育園児、小学生60名ほどが、該当するブースに参加した。この様子も、記録に残し、現在分析中である。 また、新たに2つの学習活動も開発し、一部は公立小学校で実際に1年生の児童に実践を試みた。そこで得られた課題を修正し、年度末に改めて実践を試みる予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大予防のための臨時休校のため、実践を行うことはできなかった。 しかしながら、休校再開後に公立小学校での実践を予定しており、改めて実践を行いその結果を踏まえて、昨年度投稿した論文の査読意見に応えること、また、研究交流を行っている海外の研究者との共著による論文の国際ジャーナルへの投稿の準備を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 前年度に構築した理論的枠組、その枠組をもとに開発した3つの学習活動について、実際に幼児・児童が体験する様子を記録することができた点は、予定通りの進捗状況である。また、新たに開発した2つの学習活動についても、令和元年5月に公立小学校で実践を行い、その一部は同6月に埼玉大学で開催された全国数学教育学会にてその成果を公表した。投稿した論文は査読での指摘を受け、現在修正中である。また先述した通り、大学と附属小学校のコラボ事業の中でも、一般の参加者に対して開発した学習活動を体験してもらい、その様子を記録することができた。 令和元年度は、新しい学習指導要領のキーワードの一つである「粘り強さ」について、幼小接続期の幼児・児童についても培うべき力であることから、同様の研究に取り組んでいるエクセター大学の藤田准教授と定期的に研究交流を行うことができた。5月には日本で、10月にはエクセターで研究打ち合わせおよび現地での視察を行った。エクセターでは、大学近隣の公立小学校を視察し、小学校2年生の算数の学習の様子を観察し、文化の違いにより教育方法に違いが出る部分、でない部分についての調査も行った。さらにエクセター大学では、教職免許取得のために大学院に通っている大学院生のゼミにも参加し、情報交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度にあたる令和2年度は、これまでに得られた情報を整理し、当初の目的であった学習活動をできるだけ具体的に提案できるよう、準備を進めていく予定である。現段階では、新型コロナウィルス感染拡大防止に伴う臨時休校が続いている状態にあり、年間の中で最も実践に適した4月に調査が行えなかった点はよ違いであるが、今後次の点を実行に移していきたいと考えている。 公立小学校での実証的研究:昨年度までに開発した5つの学習活動について、再度実践を試みる。 得られたデータの整理と、論文の投稿:前年度の査読意見をもとにした修正と再投稿を試みる。 学習活動パッケージの作成と提供:成果物として学習活動をパッケージ化し、地域の学校、幼稚園、保育園等に配布する。
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