本研究は就学前と小学校低学年の算数を対象に,幼小の接続を図った数概念形成のための学習活動を開発することを目的としている。平成29年3月の学習指導要領改訂においては,学校段階間の円滑な接続が「その他の重要事項」の中で指摘されている。 研究初年度の平成30年度は,数概念形成のための理論的枠組みを構築した。その理論的枠組みに基づき,年長児から小学校入学直後の児童を対象とした3つの学習活動を開発した。 研究2年目にあたる平成31年(令和元年)度は,前年度に開発した学習活動を,公立小学校および私立幼稚園で実際に子どもたちに体験させ,その状況を観察した。また,熊本大学と同附属小学校のコラボ事業「わくわく数楽ラボ」においても,開発した学習活動を提供し,地域の幼稚園児,保育園児,小学生60名ほどが参加した。その際の活動記録を研究の成果を分析の資料として収集した。また,新たに開発した2つの学習活動について,その一部を公立小学校で実践し,資料の収集,改善案を作成した。 最終年度の令和2年度は,これまでに収集した資料をもとに作成した改善案を実際に学校現場等で実践し,パッケージ化を試みた。しかし,新型コロナウイルスの影響による2ヶ月あまりの休校と実践時期が重なり,実践を予定していた学校の授業時数確保等の理由から,実践時期および実践内容の時期変更や時数削減を余儀なくされ,パッケージ化については,仮の状況まで作成している状況にある。
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