研究課題/領域番号 |
18K02632
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
篠原 久枝 宮崎大学, 教育学部, 教授 (40178885)
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研究分担者 |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
鶴田 来美 宮崎大学, 医学部, 教授 (30258983)
田中 紀子 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (90122324)
濱口 郁枝 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (80521997)
秋永 優子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70167948)
磯部 由香 三重大学, 教育学部, 教授 (80218544)
江藤 望 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90232959)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 食育実践力 / 教員養成系 / プロジェクト学習 / 世界農業遺産 / 食文化 / 食生活 |
研究実績の概要 |
本研究は教員養成系学生を対象に食育実践力の資質向上を図るために(A)自己の心身の状態(ロコモ度・ストレス状態)と生活課題(食生活)を客観的に捉え課題解決を図るためにeポートフォリオを活用したプロジェクト学習の構築 と(B)世界農業遺産やユネスコエコパークなど地域の資源を活用した食に関する包括的プログラムの構築をめざすものである。 2020年度はコロナ禍により当初の計画から大幅な修正を余儀なくされた。そこで(A)に関しては、5日間の食事記録を視覚化し自己の食生活の課題を明らかにすること、(B)に関しては冬休み期間を利用して、調理力向上のために小学校における炊飯やみそ汁の実習を踏まえて食文化の継承に繋がる献立作成、実践を中心に行った。その結果、(A)の食事記録の視覚化により、これまで実施してきた食物摂取頻度調査結果を活用するよりも、自ら具体的な課題の発見と改善に繋げる意欲が多くの学生に見られた。ただし、この評価は記録直後の結果であり、行動変容に繋げるためには今後継続した調査も必要であろう。(B)調理力向上の実践では、炊飯に関して、学生の利用した熱源と教科書に提示されている熱源の違いによる操作の課題が明らかとなった。さらに、切り方や調理法、味付けなどにも偏りがみられことや、調理用語の意味を正しく理解していない課題も明らかとなった。調理技能や食文化継承に関する意欲のルーブリック評価は概ね高いものの、中には低い学生も散見され、これらの学生の要因解明や個別指導が必要であろう。 2019年度のプロジェクト学習実施者が各自の課題をさらに深めて、地域の食文化継承に関する授業案作成への実践へと導くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に計画していた研究のうち(A)自己の心身の状態(ロコモ度・ストレス状態)と生活課題(食生活)については、宮崎大学を始め他大学でも健康診断の縮小,入構制限等により実施不可能となった。従って、当初予定していた疲労・ストレス状態の測定法についても検討することはできなかった。2019年度の成果を発表予定していた国際家政学会も2022年度に延期となった。(B)世界農業遺産やユネスコエコパークなど地域の資源を活用した食に関する包括的プログラムの構築についても、遠隔授業による学生との接触制限、学生の行動制限ならびに現地の受入制限等により大幅な縮小,変更を余儀なくされた。これらの点については、遅れていると判断せざるを得ない。一方で、宮崎大学のみではあるが、webclassを活用して、学生の生活時間調査、食事調査を実施することができたこと、さらに食育実践力に係わる調理実習技能についても冬休みの課題として実践し、ルーブリック評価を行うことができた点は進展したと言える。さらに、2019年度のプロジェクト学習実施者が各自の課題をさらに深めて、地域の食文化継承に関する授業案作成への実践へと導くことができた点は進展したと言える。従って、総合的には「(3)やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、2021年度は2020年度と比較して対面授業も増え、学生の行動自粛も緩和されていることから、2020年度の計画の中で遂行できなかった(A)自己の心身の状態(ロコモ度・ストレス状態)と生活課題(食生活)について、サンプル数を増やして、より詳細な大学生の実態解明を行う計画である。学生の食生活の一指標として、血管糖化度や体組成の測定を取り入れることを検討している。さらに、食事記録の視覚化による自己の食生活の課題発見・解決も継続して個々人の生活課題の改善に繋がるプロジェクト学習が実施できるようにする。 (B)世界農業遺産やユネスコエコパークなど地域の資源を活用した食に関する包括的プログラムの構築についても、県内のコロナ感染状況に注意しつつ現地実習を取り入れ、地域の資源、特性を生かした食文化や生活文化について、環境との調和や消費についてのSDGsの視点も取り入れながら、プロジェクト学習を推進する基盤を構築していくことを計画している。さらに2020年度に実施した、食文化の継承に繋がる献立作成、実践についても継続し、学生の食育実践力の向上に努めると共に、学生の課題を明確にすることを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の健康診断時に予定していた(A)自己の心身の状態(ロコモ度・ストレス状態)と生活課題(食生活)については、新型コロナウイルス感染拡大に伴う健康診断の縮小、入構制限等により実施不可能となり、ストレス測定システムなどの検討ができなかったこと、さらに(B)世界農業遺産やユネスコエコパークなど地域の資源を活用した食に関する包括的プログラムの構築についても、宮崎県独自の緊急事態宣言の発出による行動制限が課せられ、現地研修の大幅な縮小を余儀なくされた。これらのことにより、2020年度計画を2021年度計画へと変更したために、繰越金となった。
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