研究課題
本研究は教員養成系学生を対象に食育実践力の資質向上を図るために(A)自己の心身の状態(ロコモ度・ストレス状態)と生活課題(食生活)を客観的に捉え課題解決を図るためのプロジェクト学習の構築 と(B)世界農業遺産やユネスコエコパークなど地域の資源を活用した食に関する包括的プログラムの構築をめざすものである。本研究の当初の研究期間は2018年~2021年の4年間であったが,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,研究期間を2年間延長することになった。2023年度は,(A)についてはこれまでの研究成果から,大学生の生活時間の乱れと運動不足が懸念されたことから,日常の運動を中心とした生活課題と食生活に関する調査を行い,自己の課題を明確化した。しかしながら,2022年度の介入調査でみられたベジスコア値の改善も,1年後には元のレベルにまで低下しており,継続的な介入の必要性が示唆された。ロコモ度テスト結果については,投稿予定である。一方,(B)については,「高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム」を活用したプロジェクト学習についても継続して実施することができた。しかしながら,2023年度は長雨続きで火入れが例年より遅れたために10月末では収穫作業ができず,山菜摘みなどの新たな活動を通して地元の方との交流を深めた。2年生は,2022年度のプロジェクト学習の成果を活かしてSDGsやインクルーシブな視点を取り入れた小学校・中学校における献立学習の教材化を図ることができた。このプロジェクト学習は、食育基本法第7条の伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農産漁村との活性化と食料自給率の向上への貢献を体現したものであり、NPO法人家庭科教育研究者連盟編「家庭科研究」に『世界農業遺産 高千穂郷・椎葉村地域を活用した食文化学習「プロジェクト椎葉」』として紹介することができた。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
日本調理科学会誌
巻: 57 ページ: 64-67
家庭科研究
巻: 378 ページ: 16-17
宮崎大学教育学部紀要
巻: 102 ページ: 113-126