研究課題/領域番号 |
18K02634
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
飯島 明宏 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (70391828)
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研究分担者 |
田子 博 群馬県衛生環境研究所, 水環境・温泉研究センター 大気環境係, 研究員 (40391809)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | テキストマイニング分析 / クロスカリキュラム / 情報量理論 / 食育 |
研究実績の概要 |
新学習指導要領の前文には「持続可能な社会の創り手」の育成という言葉が盛り込まれ、学校教育現場ではSDGsの達成に向けた機運が高まってきている。しかし、現行の教育課程には「環境」や「持続可能性」を学ぶための専門教科はなく、体系的な教育モデルがないままにその重要性ばかりが強調されている。小学校では英語や道徳の教科化に伴い、元来環境教育などの受け皿となってきた総合的な学習の時間は削減され、重要性の高まりとは裏腹に教育の機会は少なくなりつつある。各教科に潜在する環境教育のコンテンツを明らかにし、それらを教科横断的に再構成することによって、既存の教育制度を変更することなく効果的な環境教育を実現するためのモデルを構築することが本研究の目的である。 本年度は、「教科横断性」の可視化に注力し、「食と環境」を断面としたカリキュラムマップの構築を進めた。小学校学習指導要領解説を対象に、5つの教科(家庭科、生活科、道徳科、理科、社会科)の教科内容を記載している部分に対してテキストマイニング分析を適用した。教科ごと単元ごとに整理したテキストデータセットを形態素解析し、抽出された頻出語について階層的クラスター分析を実行した。階層的クラスター分析により得られた各単元のデンドログラムから、各単元に潜在する「食と環境」のコンテンツを探索した。その際、国の第三次食育推進基本計画を念頭に、教育コンテンツの可視化を試みた。その結果、解析対象とした37単元中11単元に「食と環境」に関する教育内容が含まれることが分かった。内訳は、家庭科に2単元、生活科に1単元、道徳科に1単元、理科に4単元、社会に3単元であった。具体的な教育内容としては、1.栄養素、2.食文化、3.食料生産、4.人や動物のからだのつくり、5.生き物と環境、6.自然・生命に対する関心、7.植物のからだのつくり、8.環境配慮に類型化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析は予定通りに進んでいるが、コロナ禍により成果発表の機会が激減し、関連分野の研究者と学術交流を行うことが困難であった。より実用性の高いクロスカリキュラムマップを作成するためには教育現場の実務家等からのフィードバックが不可欠であり、このあたりに課題を感じる1年であった。
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今後の研究の推進方策 |
アクティブラーニング型の教育プログラムの構築にステージを進めるが、対面での教育実践は依然として困難な状況となることが予想される。その一方で、オンライン型の授業形態だからこそ実現できるアクティブラーニングのプログラムもあると考えられるので、その観点で実用性の高いプランの提案につなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際学会が、コロナウイルス感染拡大によって延期となったため。2021年度末に順延となった世界環境教育学会(WEEC)への参加費用に活用することとする。
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