研究課題/領域番号 |
18K02635
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
丸山 真司 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (10157414)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学校体育 / カリキュラム開発 / スクール・ベースト・アプローチ / カリキュラム評価 / 単元ー年間計画 |
研究実績の概要 |
本研究は学校体育のカリキュラム開発や授業実践に活きるカリキュラム評価方法を理論的に解明し、国際指標に耐えうるカリキュラム評価方法のモデルを創出することが目的である。2019-2020年度の研究課題は「実践を基盤とする学校体育カリキュラム評価の状況分析と理論仮説の設計」であり、とりわけ①体育実践におけるカリキュラム評価の実態と問題状況の分析、②SBCD研究におけるアセスメント論および体育・スポーツ教育学の評価論からのアプローチによって学校体育カリキュラムの効果検証のデザインや評価方法についての理論仮説を設計することであった。 この一年間は先行研究の整理と日本の体育実践におけるカリキュラム評価の実態を把握する方法を検討している段階であり、現段階においては研究成果として報告するに至っていない。 (2)の研究課題に関わっては、体育実践におけるカリキュラムの重要単位である「単元-年間計画」に着目し、重点教材を年間計画に位置づける意味や重点教材を活かした年間計画づくりを分析し、教師よる年間計画の評価方法のポイントを引き出した。さらに、教師による年間指導計画-体育カリキュラムづくりの方法という視点から以下のような9つの評価ポイントを明らかにした。①子どもたちの実態をどの把握、②各学校における体育の目標(出口)像、③各学年のテーマ(目標)、④教科内容と対応する教材選択、⑤重点教材、⑥最初の体育授業との出会わせ方、⑦体育理論の授業の位置づけ、⑧体育授業と教科外体育(学校行事・部活)との関連、⑨年間計画についての体育教師集団の合意形成である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度4月より愛知県立大学の副学長となり、大学改革支援・学位授与機構の「認証評価」、「第3期中期計画」の策定を含む大学の管理運営業務、学部及び大学院(修士および博士後期課程)の研究指導、学会役員等の仕事に追われ、研究活動を遂行する時間を十分に確保できず、研究活動全体が遅々として進まず目標とした課題を達成できなかった。 当該科研研究においてスタート年である今年度は、まず第1に、国内外のカリキュラム評価論の先行研究を収集・整理するところから研究に着手した。しかしながら体育実践におけるカリキュラム開発評価の先行研究や先行実践の分析にまで至っていない。第2に、カリキュラムの中核単位である「単元ー年間計画」に着目し、教師による年間計画づくりから評価のポイントを抽出したが、その結果をカリキュラム評価方法の理論仮説に導く考察をするまでには至らなかった。第3に、学校現場における体育のカリキュラム評価の実態分析については着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2018-2019年度の研究テーマは「実践を基盤とする学校体育カリキュラム評価の状況分析と理論仮説の設計」あり、とりわけ(1)体育実践におけるカリキュラム評価の先行研究の整理と実態分析、(2)SBCD研究における評価論・アセスメント論からのアプローチによって学校体育カリキュラムの効果検証のデザインや評価方法についての理論仮説を設計する研究に着手する予定であった。しかしながら、(1)及び(2)の研究課題においても先行研究の整理と仮説を引き出すための基礎作業に終わってしまった。 2019年度の課題(研究推進予定)は以下の通りである。 (1)の研究課題については、①教育評価論・カリキュラム評価論・体育評価論の先行研究を体育実践におけるカリキュラムづくりや年間計画づくりに引き寄せて評価方法を再検討する予定である。②全国の学校現場で実施されている学校体育のカリキュラム評価の実態を調査する。③2004年に教師たちの手によって創出された『体育・健康教育の教育課程試案』(学校体育研究同志会教育課程自主編成プロジェクト編、創文企画)があるが、そこに関わった教師たちのカリキュラムづくりや評価に対する意識・見方・認識について調査する。 (2)の研究課題に関わっては、①体育における「単元-年間計画」に着目し、「単元-年間計画」づくりと評価の実践事例を分析する。②(1)と(2)の研究から学校現場で活かせる年間計画評価方法の仮説を導出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度より愛知県立大学の副学長(総括)となり、今年度はそのスタートの年であった。そのため今年度は大学の管理運営業務を中心に、学部、大学院(修士および博士後期課程)の指導、学会役員等の仕事に追われ、研究活動が十分に展開できなかった。 とりわけ科研研究活動においては、初年度として①体育実践におけるカリキュラム評価の問題状況を分析するとともに、②スクール・ベイスト・カリキュラム開発研究におけるアセスメント論および体育・スポーツ教育学の評価論から学校体育カリキュラムの効果検証のデザインや評価方法についての理論仮説を設計する研究を進める予定であった。しかしながら①及び②の研究課題においても先行研究の文献収集と整理にとどまり、研究成果として発表することや調査を実施することができなかった。そのため研究発表や調査の旅費等の支出が少なくなった。 2019年度には学会等での研究発表と国内外への資料調査や実態調査を進め、①と②の研究課題を進めていくつもりである。
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