研究課題/領域番号 |
18K02636
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研究機関 | 尾道市立大学 |
研究代表者 |
信木 伸一 尾道市立大学, 芸術文化学部, 教授 (40549870)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 普通文 / 中学校国語教科書 |
研究実績の概要 |
明治期中等教育国語教科書において様々に試みられた「普通文」創出の文体的な実践を分析する観点及びテクストから抽出する表現事象について、数種の教科書への適用を行った上で、文体的特徴を捉えるために有効性があるか、文体的実践の差異が明確になるかという点から精査を行い、「普通文」創出の営為を可視化するために有効な観点とテクストから抽出する表現要素を定めた。この作業によって、和文体、漢文訓読体、口語文体等の諸要素を、数量的に抽出するための指標を明らかにすることができた。以後、これらの表現要素の出現実態を調査することで、対象テクストの文体的特徴を定量化することが可能となった。なお、表現要素の出現実態の調査を精緻なものにするため、対象テクストをすべてデータ化し追試可能なものにすることを新たに作業方針とした。その結果、作業量が膨大なものとなり、当初の見通しよりも長期にわたる作業が必要となる見通しとなった。また、複数の教科書の緒言において、「新しい時代の「普通文」が必要であるが。相応しい文章がないので、編者が書いた」旨が記されていることが確認されるため、教科書編者自筆の教材にこそ、「普通文」創出の営為が具現化しているものとして分析対象と定めた。 今年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、分析の対象となる教科書編者自作教材文の収集を進めることができなかったが、教科書教材の本文についてのデータ化は、明治28年から明治36年までの12教科書について行っている。なお、対象とする教科書はこれら以外にも多くあり、対象テクストの収集は途中である。 分析作業については、公文書上に「普通文」の語彙が初めて登場する明治33年の「小学校令施行規則」及び「普通ノ言語文章」の語彙が登場する明治35年の「中学校令施行規則」以前に発行された中学校国語教科書における教科書編者の自作教材の分析を終えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
勤務校において、新型コロナウィルス感染拡大防止に対応するタスクフォース「危機管理対策会議」のメンバーとして、2019年1月より、連日のタスク対応にあたっており、本研究のエフォートがほとんど確保できない状況が続いている。特に、勤務校において感染危険区域への出張が制限されており、県外への移動が調査活動が長期にわたって不可能である。また、データ入力の学生アルバイトについて、授業のオンライン化や学内入構制限の影響があって、運用が捗らない状況が続いている。 以上の理由により、研究の進捗に遅れが生じている
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今後の研究の推進方策 |
調査は、新型コロナウィルスの社会的影響が緩和し、出張が可能となりしだい再開する。 当面は、収集済み資料のデータ化及びその分析・考察を引き続き進めることとする。 研究作業で得られた成果について、順次内容のまとまり毎に、学会発表や論文発表を行う。 また、明治国語教科書編者作成の教材本文のデータについては、リポジトリを介して公開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの社会的影響により、調査のための出張及び学生アルバイトによるデータ入力作業が中断しているため。
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