研究実績の概要 |
本研究では、幼稚園における健康診断の実施状況や養護教諭の配置状況、保健室の設置や設備などの幼稚園における保健管理の実態を明らかにし、幼稚園から小学校へのスムーズな保健管理の連携や幼児期から行う生涯を通じた健康づくりについて検討することを目的としている。 2019年度に幼稚園養護教諭を対象として実施した予備調査より、健康診断の検査項目のうち「ほぼ全員に実施される項目」が未実施の園があることが分かった。そこで、上記の調査結果および先行文献を基に、2024年3月に文部科学省が公表している学校コードを用いて全国から無作為抽出した1,000園に「幼稚園における健康診断等の保健管理に関する調査」を実施した。 結果、308園から回答を得ることができ(宛名不明や閉園等による返信を除く回収率31.7%)、健康診断の回数や内容、養護教諭や看護師等の専門職の配置の有無、保健室の有無、保健室にある備品、保護者や園児への保険指導や保健情報の共有状況、小学校との保健情報の共有状況などを把握することができた。 近年、多様化している保育施設では一人一人の保健管理や安全管理などの保育の質が問われるようになってきた。しかし、幼稚園における健康診断の実施状況や保健管理の実態は文部科学省においても十分に把握できていないため、本研究により幼稚園の保健管理の実状を把握することはわが国の幼児教育の質の保証と生涯を通じた健康づくりの基礎を形成することに大きな寄与が出来る研究である。 今後、さらなる考察を行い、幼稚園における健康診断の有効な活用方法や養護教諭などの専門職が行う保健管理などについて検討を重ねる予定である。
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