研究課題/領域番号 |
18K02642
|
研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
村上 誠 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (30331606)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | アート教育 / 循環成長型 / アートワークショップ |
研究実績の概要 |
本研究は、幼児の活動を〈循環し成長するもの〉という理解を前提に進める。そのことで、“作品”という一点に留め置かれないアートの活動が可能となり、その具体的な方途を探る。これを『循環成長型アートプログラム』と名づけ、①素材②手法③テーマをキーワードとしてプログラムを開発し実践する。研究の流れは、研究1:〈循環と成長〉の考察、研究2:アートプログラムの開発と実践、研究3:『循環成長型アートプログラム』の公表、の順で進める。 今年度は、研究1と2が主な活動となり、研究3は試験的な実施に留めた。研究1の考察では、〈循環の島〉を謳う沖縄の宮古島で「ヒトの生活と循環」をフィールドワークし、主に水と人の生活の循環を取材した。また、島内で斬新な教育環境を構築し保育を続けるHこども園を訪問し、子どもたちの生活を体感した。いずれも島の文化そのものが“生と死”の豊かな循環の中に存在していることが確認できた。研究2では、3つのテーマ(①素材②手法③テーマ)での実践を試みた。①素材:2015年から多くの実践を続けてきたのに加えて、2019年3月15日・16日に幼児と保護者を対象として、身近な素材で遊ぶ実践とレクチャーを行った(東京都府中市)。②手法:2018年7月4日に2歳児の親子対象「親子で描く遊び」(浜松市)、7月14日に小学校低学年対象の「見えそうで見えない不思議な絵本作り」(浜松市)、9月19日に保育者対象のアートワークショップ「色で遊ぶ」(浜松市)。③テーマ:すでにこれまで3年間実践を続けてきた島田市のY保育園で1年を通したアートの遊びを実践し、2019年1月17日・18日に記録展『あそびが、育つ』を開催し、保育実践の可視化を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の職場の事情により、前半期は研究に集中して取り組むことができなかった。後期に入り、少しゆとりができたこともあり、フィールドワークと実践をおおよそ当初の予定通りに進めることができた。特に、2019年1月に開催した記録展『あそびが、育つ』は、Y保育園とその関係園の保育・教育者、及び保護者を対象としてのものだったが、想像以上に手ごたえがあり、次年度も地域に根差した活動はできるだけ詳しく分かりやすい方法で、地域に還していく必要性を強く感じた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目となる今年度は、研究2を中心に活動する。①素材②手法③テーマをキーワードとしたアートのプログラムを開発し、実践と反省をくり返す。すでに浜松市、磐田市、島田市などでのアートワークショップが予定されている。研究3は今年度同様、1年を通した実践をしているY園とその関係者に絞っての記録展示を予定している。本研究は、科研費を獲得する3年前から当該園を中心に進めていることもあり、最終年(2012年)には6年間の研究の成果をまとめ、園内ではなく公的施設を使用して広く地域に開かれた記録展とシンポジウム等を予定している。次年度は、そのための重要な準備期間となる。
|