研究課題/領域番号 |
18K02645
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研究機関 | 広島女学院大学 |
研究代表者 |
森保 尚美 広島女学院大学, 人間生活学部, 教授 (70748889)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 質の認識 / 音楽活動 / 身体 / 舞踊 / 音楽鑑賞 |
研究実績の概要 |
本研究は、音楽鑑賞教材について、舞踊ワークショップへの参加や舞踊の指導場面の観察及び指導者へのインタビュー調査から、教材曲の特性や文化的固有性と対応させて音楽鑑賞授業に応用できる音楽活動を明らかにすることを目的としている。 身体を使った音楽活動は、教材曲の音楽的特徴を知覚・感受する方法として、音楽理解のために用いられた実践研究が多いが、文化の特質に依拠した音楽活動の選択やアプローチへの研究を深めることで、質の高い学びが実現すると考えられる。 本年度は、予期せぬ緊急事態宣言の影響で、日本民謡の実地研究に着手することができなかったが、これまでに試行してきた鑑賞授業を市内の小学校に対し、遠隔授業と対面授業で実施することができた。これまでの実践結果と同様に、もとは舞踊の音楽であっても、動きのイメージや文化的背景に関する認識はなく、文化的視点を取り入れたテーマを設定した題材づくりが、音楽のルーツや、人と音楽との関わり、音楽と生活や社会との関わりについて思考することにつながり、感性と知識・技能(聴取力)が一体となる音楽鑑賞に資する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度版、小学校音楽科デジタル教科書や日本民謡の視聴覚資料等、収集すべき資料は購入することができたが、コロナウィルス拡大のために中国地方の日本民謡に関する実地調査に着手することができなかった。 そこで、県をまたがない広島市内小学校への実践研究に切り替えて、舞踊の動きを伴う音楽活動を取り入れた比較鑑賞授業を、ZOOM授業と対面授業で行った。現在はワークシートの記述を分析している途中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度においては、県をまたぐ移動が容易ではないことが推測されるため、県内の研究協力者から専門的知見の提供を得て、2019年度に訪問した子ども民謡教室の録画分析を進め、日本文化の特質に依拠した音楽活動を取り入れた音楽鑑賞授業の実践研究を進め、本研究課題のまとめを行う。舞踊的な動きを伴う活動に関しては、発声を伴う活動と異なり、対面授業実施期間中に小学校現場での授業実践が認められやすいことから、研究の方向性は変更しない予定である。 感染が収束し県をまたぐ移動や先方の状況が受入可能になった際には、当初の予定通り、中国地方の民謡に関して現地調査及びワークショップ参加を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本民謡の実地調査に関する旅費及び謝金、学会発表に伴う旅費が、出張を断念したために次年度使用額が発生した。令和3年度は、当初学会発表及び資料作成のための助成金を請求していたが、令和2年度に行うことができなかった日本民謡の研究調査のための助成金をあわせて研究を行う。実地研修ができなかった場合も、遠隔講習による謝金及び、広島県内の研究協力者による専門的知見の提供に充てて研究を遂行する。
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