本研究は近年の国の審議会等で求められている学校種間の連携・接続の必要性を踏まえて、①「小中学校兼務教員」の配置が中学1年生とともに、中学2年生の不登校の新規出現率を抑制しているかどうかを確認する ②その際、兼務教員のどのような意識と行動が効果的であるのかを明らかにする の2点を主目的としたものである。 2020~2021年度までは、コロナ禍の影響によりO県P市内における「小中学校兼務教員」が配置されている中学校区の中学1年生と2年生を対象とした「学校生活に関する質問紙調査」とともに、兼務教員へのヒアリング調査を実施することができなかった。 そのため、2018年度(小学6年生時)と2019年度(中学1年生)における不登校新規出現率から、不登校新規出現率の抑制と兼務教員の意識と行動との関係を推測したところ、「小中学校兼務教員」の小学校6年生への関わりが大きいという論が成り立つという結果に至った。そこで、2022年度は、研究期間を1年間延長して、コロナ禍の影響を受ける前年度(2018年度)の小学6年生を対象に働きかけを行っていた一部の兼務教員へのヒアリング調査を電話等で実施した。 その結果、「中学校入学当初から、小学校時代に顔なじみのある教員がいることは、生徒の中学校生活に対する不安感解消に結びついている」などと、生徒の心理的安全性が高まったことが、不登校の新規出現率の抑制に結びつく可能性が高いと言える。
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