日本本の児童生徒は算数・数学を現実問題に活用する能力に劣る傾向にある。また,数学嫌いの割合も多く数学を役に立たないと捉える傾向に少なからずある。これらの実状に応じるべく算数・数学を活用し数学の有用性を感得できる授業展開が求められている。そのような授業を実現するための一つの手だてとして,現実問題の解決いわゆる数学的モデリングを教育カリキュラムに位置づけることが挙げられる。本研究では特に小規模校における数学的モデリングの授業に焦点をしぼり4年間にわたり実践的な研究を進めた。 1年目の研究(平成30年度)では,連携協力校の小規模校を念頭に数学的モデリングの授業を実施する際の利点及び問題点を先行研究の調査・分析をもとに整理した。2年目の研究(令和元年度)では,1年目の基礎的研究をもとに連携協力校の小規模校における数学的モデリングの教材開発及び授業プログラムを具体的に作成した。3年目の研究(令和2年度)では,本研究の方向性等を評価するため学会や研究会等で中間発表し,本授業プログラムの修正・改善を図った。 最終年度4年目の研究(令和3年度)では,作成した授業プログラムを山形大学附属学校で授業実践し本研究の有効性を確かめると共に,併せて本研究の成果を講演や図書として公に発信した。小規模校における教育活動の主たる課題である「多様な考えに接する機会や学び合いの機会が少ない」等に対して,本授業プログラムが少なからず有効であることを実証した。とりわけ,本研究で積極的に採用したICT利用等により児童生徒の多様な関わり合いや質の高い協同的な学びを実現できる余地があることを明らかにした。
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