研究課題/領域番号 |
18K02653
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
細川 美由紀 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70434537)
|
研究分担者 |
室谷 直子 常磐短期大学, 幼児教育保育学科, 教授 (70400653)
猪井 新一 茨城大学, 教育学部, 教授 (80254887)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 英単語 / 読み習得 / 小学生 / 認知 / 音韻処理 |
研究実績の概要 |
研究1(英単語の読みとその背景要因に関する認知心理学的研究)については,昨年度実施した調査について再度詳細な分析を行った。その結果、ローマ字知識を用いて音読可能な英単語読みの習得には主に英単語の語彙能力が重要であり,その他の英単語については,音韻処理の中でもアルファベットの音(音素)を組み合わせて音声化する能力が重要な能力となることが明らかとなった。さらに英単語読みに影響を与える要因について、認知的要因に加えて英語学習に対する態度も含めて分析した結果、ローマ字の規則を用いて音読が不可能な英単語の読み成績については、認知的要因に加えて英語学習に対する態度も影響を及ぼすことが示唆された。 研究2(外国語活動における英単語の読み習得に関する支援方法の検討)に関しては、スピーチ活動を扱っている2つの小学校6年生の英語の授業を比較した。その結果、児童にとって好ましいと感じる授業の特徴は、スピーチ活動を含め、意味中心の活動が主であったが、そうでない授業は、非言語的な形式に着目するような授業であった。このことから、小学校における英語の授業において形式に重点を置くような活動は、児童の認知的・記憶的容量を超えてしまい、結果として意味にまで注意が払われないことが予想されることから、小学生の段階では意味中心の活動を授業で展開することが望ましいことが明らかとなった。 一方、母国語であるひらがなと漢字の読み習得についても、互いに関連する複数の認知的要因を活用し,相互に影響し合って進行するが,粘り強さといった課題従事行動や家庭での活動なども関係することが明らかになった。 以上の結果から、小学生における英単語の読みの習得を促すには、その認知的基盤に注目しつつ、それらを楽しく学習することができるような環境要因にも配慮する必要があることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1については昨年度実施した調査の分析が概ね完了したものの、研究2において支援の試案作成が予定通り進行していないため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究1(英単語の読みとその背景要因に関する認知心理学的研究)については,前年度の成果について国際学会ならびに学会誌へ投稿する。ただし、感染症の影響により国際会議の参加が困難な状況になった場合には研究期間の延長も視野にいれて研究を進めていく。 一方研究2(外国語活動における英単語の読み習得に関する支援方法の検討)においては,研究1で得られた知見も踏まえ,英単語読み習得の基盤となるような外国語活動とはどのようなものかについて研究分担者の助言を受けながら検討し,支援方法の試案を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究1(英単語の読みとその背景要因に関する認知心理学的研究)における追加調査を実施しなかったため、そのための消耗品および謝金等が余剰となった。また研究2(外国語活動における英単語の読み習得に関する支援方法の検討)においても、当初予定していた支援プログラムの立案まで至らなかったため、そのための資料代や資料収集のための旅費が余剰となり、次年度使用額が生じる事態となった。 次年度においては、研究1における研究成果のための旅費や投稿費用、研究2におけるプログラム案作成のための資料収集代や資料収集のための旅費に繰り越した予算を計上する予定である。
|