研究課題/領域番号 |
18K02654
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
石塚 諭 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (90793703)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 事前計画 / 小学校教師 / 体育授業 / 即興的思考 / 実践的知識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,体育授業の中でよりよい意思決定を行うために必要な事前計画立案の視点と事前計画作成のプロセスを提案し,教員養成課程の授業において活用する方法論を提示することである。 平成30年度は、教師の事前計画立案に対する認識を明らかにするために質問紙を作成した。具体的には、小学校で体育授業を担当している中堅期以上の教師12名を対象に半構造化インタビューによりデータを収集した。その後、質的内容分析法を用いデータを分析し、抽出された35のコードをもとに質問内容を作成した。 作成された質問紙は協力者との検討、予備調査を経て、公立小学校の教師(初任期、中堅期、ベテラン期)209名を対象にして調査を実施した。調査の目的は、小学校で体育を担当する教師が、事前計画をどのように認識しているのかということを教師の発達段階ごとに検討し、その傾向を明らかにすることである。 その結果、事前計画に対する教師の認識として「活動内容の展開」「即興的思考の基盤」「児童理解と支援の手立て」「実践的知識」の4つの因子を抽出することができた。さらに、教師の発達段階による認識傾向の違いを検討したところ、「活動内容による展開」「即興的思考の基盤」「児童理解と支援の手立て」には教職歴による認識傾向に差はないことが明らかになった。一方で「実践的知識」としての認識には差が認められた。具体的には、初任期の教師の方がベテラン期の教師よりも事前計画を立案する際に「実践的知識」が必要であると認識していることが明らかになった。 この結果を手がかりに,今後の研究対象を選定し,教師の事前計画に対する認識と即時的な意思決定の関連を明らかにする研究計画を立案し検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、平成30年度中に公立小学校の教師を対象に質問紙調査を実施し、事前計画に対する認識の傾向を明らかにすることができたが、その後の対象者を選定するにあたっての分析、研究の具体的計画の検討などが途中となっているためである。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、前年度から行っている研究データの分析を進め、対象者の選定を早急に行う。その後、フィールドワーク研究に移行し、研究データを収集を進める。同時に研究成果をまとめながら随時、学会発表を計画していく。また、前年度の研究成果をまとめ論文として発表することを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は、研究計画の遅れもありデータ分析に充てる予定であった人件費を支出することがなかった。そのため、物品費と旅費を中心に支出したが、次年度はデータ分析等に必要な人件費などが増える見通しである。また、論文作成に関しても計画以上に進めたいため、その費用として検討している。
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