研究課題/領域番号 |
18K02657
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
竹内 裕一 千葉大学, 教育学部, 教授 (00216855)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 千葉県香取郡東庄町 / 学校統廃合 / 過疎地域 / 少子高齢化 / 人材育成 / 地域再生 / 地域学習 / 地域問題学習 |
研究実績の概要 |
本年度は,千葉県内における学校統廃合にかかわる学校の対応と地域の反応,社会科授業における統廃合問題を扱った授業実践について調査・研究を進めた。 具体的には,2020年4月に学校統廃合を予定している香取郡東庄町を取り上げた。2019年現在,東庄町には5校の小学校が存在するが,近年少子高齢化の影響により児童数が激減している。こうした地域の状況を踏まえて,2020年4月に5校を統合し,そのうちもっとも児童数の多い笹川小学校の敷地・施設を利用して統合後の新小学校(東庄町立東庄小学校)が開設されることが決定している。本年度は,東庄町の学校統廃合問題を対象として,(1)学校統廃合に向けた町行政(議会)・教育委員会の審議・検討の経緯,住民に対する説明実態,住民の意識等の調査,(2)統廃合の中心校である笹川小学校における学校統廃合に向けた取り組みと児童に対するケアの実態調査,(3)笹川小学校6年社会科における授業実践とその分析の3点を中心に研究を進めた。 (1)について,町は統廃合の効果として,①教育環境の水準が一元化,②全学年2学級以上の編成が可能,③集団活動の活性化,④教育環境の効率化と充実という4点を挙げて住民に理解を求めたが,住民は必ずしも納得している訳ではないことが分かった。(2)については,笹川小学校にける統廃合に向けての具体的な取り組みや児童に対する説明の実態を調査した。(3)については,6年社会科授業において,「なぜ東庄町の小学校が統合されるのか」を学習問題とし,地域問題の一つとして学校統廃合の問題を取り上げた。 なお,東庄町における学校統廃合に向けた取り組みと社会科における授業実践の比較の対象として,1町5校から1町1校という広域統廃合を2019年に既に完了している香取市立山田小学校についても調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,千葉県内の学校統廃合を中心に調査を実施した。特に,香取郡東庄町における学校統廃合は,2020年4月に町内の5校の小学校が東庄町立東庄小学校に統合されるが,それに向けての各校の取り組みの調査と,そのうちの一校である笹川小学校における学校統廃合を直接の教材とした授業実践を行った。笹川小学校における学校統廃合に向けた取り組みに関する調査と授業分析は順調に実施できたが,閉校に向けての様々な行事や取り組み,児童の意識の変化等については,新型コロナウィルス流行拡大により活動自粛,さらに休校措置が執られたため,調査することができなかった。 また,2019年度に先行して統廃合された香取市(旧山田町)の市立山田小学校における統廃合後の学校と地域の実態を調査し,東庄町の学校統廃合の実態と比較検討した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度に当たるため,研究のまとめを行いたい。特に,過疎地域における学校統廃合後の地域学習のあり方を考察するために,学校統廃合を完了した小学校を選定し,そこでの地域学習の実践分析を行うことにより,地域に対する児童・生徒の意識の変化や地域住民の統廃合後の学校に対する意識を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は授業実践を中心に研究を進めたため,地域における学校統廃合をめぐる地域住民の実態調査や子どもたちの意識の辺境にかかわる調査が十分できなかった。来年度は,繰り越した助成金を本年度不十分であった調査活動に充てたいと思っている。また,来年度は本研究の最終年度にあたるため,研究成果をまとめた報告書を作成する予定であり,その予算としても確保しておきたいと思っている。
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