書き手の形成するRQの具体化の過程について、学際的ライティングを基礎づける当該の関係者ならびにテクストの「声の断片」が具体化に関わって、「声」の積層の位置と相互関係の記述の枠組みを構築し、主として高校生による議論的な書くことのテクストについて分析を行った。 分析の枠組みは、野村(2000)におけるテクストの参加者とコミュニケーションの参加者の概念に基づいて設定した。まず、書かれるテクストを介して書き手自身が書き手に言及する際の「階」については、第4階まで認められた。また、他の参加者については、第3階まで認められ、RQの形成に関わる問題に関わる参加者について階型が多くなる傾向が認められた。またテクストに基づく参加者については、教材のメディアの声に言及する階が認められた。またそれぞれの声の相互関係については、参加者の声への言及ならびに相互の声に言及する対話的な関係が多くの階を成していること、RQの形成に関わる問題に関わる参加者の声については対話的な関係が多い者の、それ以外の声への関与との関連を解明する必要があることを指摘した。 なお2022年度の成果については学会における発表を計画していたが、研究代表者の身内の不幸により学会への参加を見送ったことにより、研究成果の発表を行うことができなかった。
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