前年度に引き続き、集団状態の把握と授業構成、指導行動の観察・記録、整理をおこない、学級集団の状態に応じた授業モデルの精緻化と考察を進めた。今年度は、授業観察と授業者へのコンサルテーションを通して、集団の規律と関係性の状態に応じた授業構成とともに、児童の実態に応じた規律と関係性の育成に効果的な指導行動について、児童の社会面、心理面、身体面の発達の理論、心理教育的援助等の実践的な知見との関連で考察をおこなった。 その結果、集団の規律と関係性の相補的な影響を考慮した授業構成、指導行動が選択されていること、規律と関係性の育成に有効な指導行動には共通するいくつかの要因が関連すること、コロナ禍の影響を考慮した指導行動が求められる可能性のあることなどが明らかになった。 集団の状態に適合した授業モデルに関わる授業構成、指導行動は、児童の現状と課題に応じた発達支持的な教育実践と関連があり、効果的な実践では児童の発達を促す視点からの指導行動が選択されることが考察された。また、成育環境等に起因する情動の抑制に課題を抱える児童が在籍する場合には、授業において実態に応じた個への修復的な指導援助と同時に、周囲の児童および集団への適切な指導援助が必要であることが考察された。 授業者へのコンサルテーションでは、学級集団の状態を規律と関係性の視点から捉えるとともに、在籍する児童の社会面・心理面・身体面の発達の課題の把握と学級集団における課題を抱える児童の割合の視点からアセスメントして、学級の実態を共有する方法が効果的であることが考察された。
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