研究課題/領域番号 |
18K02668
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山元 隆春 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90210533)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 深い学び / 評価 / 目標設定カンファランス / ブレンド型授業 / 学びの責任 / 段階的移行モデル |
研究実績の概要 |
これまで研究が十分なされてきたとは言えない「評価と結びついた理解方略(理解するための方法)指導の研究」を、読者反応理論や認知心理学の研究を踏まえた教育実践や新たな指導法開発を行った文献をつぶさに研究して研究課題の解明を行った。2019年度は、出版されている関係文献のなかから、現代米国の読むことの指導法と評価に関する理論と実践をリードする、Jennifer Serravalloのunderstanding Texts & Readers(Heinemann,2018)と、Berit GordonのNo More Fake Reading(Corwin Press, 2018)を扱い、その内容を詳しく検討して、二つの全国学会で発表した。前者については、2019.6.1.土に茨城大学水戸キャンパスで開催された第 136 回全国大学国語教育学会・茨城大会・自由研究発表において後者については、2019年10月26日(土)に開催された第137回全国大学国語教育学会・仙台大会・自由研究発表において、研究成果を発表した。 これらの考察を通して、読むことの「深い学び」を促すためには、(1)読むことの目標を生徒と教師が一緒になって見極める「目標設定カンファランス」が有効であること、(2)読者と本とのマッチングのためのカンファランスでの言葉の選び方の工夫が重要であること、(3)フィクションについては「プロットと設定」「登場人物」「語彙とひい油滴言語」「テーマとアイディア」について詳しく知ることを目的としたカンファランスが有効であること、(4)「クラス全員で読む本」と「自分の選んだ本」を組み合わせた学習体験をもたらすブレンド型授業が、生徒のニーズに見合った読むことの「深い学び」を誘うこと、などが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
読むことの「深い学び」を促す学習評価法開発は、従来十分な取り組みが見られたとはいえない研究課題であるが、本研究においては、主に米国のリテラシー教育研究における最新の成果を詳しく検討することによって、読むことの理論や研究との関係や、教育現場、学習者のニーズに応じた指導法・学習評価法のうち、どういうものが読むことの「深い学び」に結びつくのかということについての大筋の見通しをつけることができたと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に翻訳出版したり、考察したりした、C.TomlinsonらのDifferentiated Instruction(一人ひとりをいかす教育)の考え方や、K.BeersとR.ProbstのNotice & Note、また、2019年度に考察したJ.SerravalloやB.Gordonらの学習指導法・評価法の焦点をさらに集約し、研究代表者がこれまでの研究で蓄積してきた、読者反応論準拠の教授法や読みの理論とを結合して、読むことの深い学びを促す学習指導法・評価法の理論を構築して、児童生徒の豊かな読みの成果を生み出すカリキュラム構成への見通しを立てて、自立した読み手を育てる読むことの学習評価法について研究ベースの提案を行う。
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