研究課題/領域番号 |
18K02670
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
久米 禎子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90388215)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 箱庭 / 教育相談力 / 自己理解 / 自己受容 / 共感的理解 / 体験型教員研修 / グループ力動 |
研究実績の概要 |
令和元年度で2年にわたる教育相談研修「箱庭体験グループ」の実践が終了し,2グループ分の実践のデータが得られた。令和2年度は令和元年度の箱庭体験グループ参加者に対してフォローアップ調査を行った。調査は郵送にて行い(12月~1月),箱庭体験グループでの経験と,教育相談の実践状況および教育相談研修についての考えを尋ねた。参加者7名中6名から回答が寄せられ,この調査をもって本研究における調査はすべて終了した。 令和2年度はおもにこれらの実践および調査で得られたデータの分析を進めた。「箱庭体験グループ」は個人箱庭制作とグループ箱庭制作からなっており,まずグループ箱庭の制作体験の分析を行った。グループ箱庭作品とその変化から,グループの力動とその変化の様子をとらえ,参加者へのインタビューから,それぞれの参加者がグループ箱庭においてどのような体験をし,そこからどのような気づきを得たのかを分析した。その結果,多くの参加者の体験において,最初は他者の置いたものに戸惑いや違和感を感じていたが,やがてその人の個性として受け入れられるようになっていき,同時に自分もより自由に自分自身を表現し,自分の個性として認められるようになっていく過程が観察された。グループ箱庭に参加したことにより,教師の自己理解や他者理解が促進されたことが示されたと言える。この研究成果は論文として発表した。つづいて,質問紙調査とインタビュー調査から,教育相談について教師自身が捉えている現状や研修に対するニーズを分析し,論文にまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実践と調査は予定通り終了したが,結果の分析と発表が若干遅れている。 グループ箱庭に関しては分析および成果発表まで終えている。教育相談および教育相談研修の現状と教員の意識に関しては,分析はほぼ終了し,論文にまとめているところである。個人箱庭に関しては,これから詳細な分析を行っていく予定である。 また,グループ前後での自己理解や他者理解の変化については,質問紙の分析(教師のイラショナル・ビリーフ,自己受容,他者受容,存在受容感)はすでに終えているが,インタビューの分析がまだ残っている。
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今後の研究の推進方策 |
個人箱庭の制作体験については,作品の分析を通してそれぞれの参加者の内的な変化について詳細な分析を行っていく予定である。 また,それぞれの参加者にとって箱庭体験グループがどのような意味を持ち,自己理解や他者理解にどのように影響したかを,インタビューにおける語りを分析することにより明らかにする。これによって得られた結果は,すでに分析を終えている質問紙調査(教師のイラショナル・ビリーフ,自己受容,他者受容,存在受容感)の結果とあわせて学会で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で,参加を予定していた学会が中止になった。そのため,次年度の学会参加費用として使用したい。
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