研究課題/領域番号 |
18K02671
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
山田 芳明 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80363175)
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研究分担者 |
西尾 正寛 畿央大学, 教育学部, 教授 (50441449)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 造形遊び / 造形的な遊び / 小学校学習指導要領 / 比較分析 / 実践 / 教科書 |
研究実績の概要 |
平成31年度(令和元年度)は,研究実施計画で示した,三つのセクション(セクション1=『「造形遊び」の体系化』;以下S1,セクション2=『「造形遊び」のモデル化』:以下S2,セクション3=『「造形遊び」授業の映像化』:以下S3)の研究計画に沿って研究を遂行した。 S1に関しては,造形遊びが造形的な遊びとして示されて以降の「小学校指導書図画工作編」「小学校学習指導要領解説図画工作編」の分析を行った。その結果,昭和53年版指導書では「造形的な遊び」以外に,「遊ぶ」,「遊び」という語が使用されていることがわかった。その「遊び」は,「材料の色や形からの発想を楽しむ遊び」「材料を身体につけて楽しむ遊び」等「造形的な遊び」を具体的に説明する際に用いられていた。また,分析対象の中で最も文章量の多い平成20年版解説書が「遊び」という用語が最も少ない結果となった。本分析の結果は「『造形遊び』の教科内容としての位置付けとその認識に関する考察ー小学校指導書・学習指導要領解説書の比較分析を中心にー」として学会で発表する予定であった。 S2に関しては,モデル化のための資料収集として,教育現場の視察及び実践を行うとともに,「造形遊び」が教科内容に位置づけられて以降に発刊された教科書の内容分析を行った。 その結果,昭和52年から平成10年まで,学習指導要領の改訂ごとに,その対象学年を拡張していった「造形遊び」であるが,教科書題材として内容に一定の安定感を持つまでには,低・中学年でおよそ20年の期間を要していることがわかった。 S3に関しては,西尾正寛(畿央大学・教授),大西洋史(関西国際大学・准教授),宮川紀宏(鳴門教育大学附属小学校・教諭)とともに,最終年度に向けて撮影方法を検討し必要機材等を準備し,年度内に予備的な実践及び記録を行う予定であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成31年度(令和元年度)は,研究実施計画で示した,三つのセクションの研究計画に沿って研究を遂行した。 S1に関しては,造形遊びが造形的な遊びとして示されて以降に発刊された「小学校指導書図画工作編」「小学校学習指導要領解説図画工作編」4冊の記述内容の分析を行った。その結果,平成元年版以降では見られない特徴として,昭和53年版指導書では「造形的な遊び」以外に「遊ぶ」「遊び」という語が使用されていることがわかった。さらに「遊び」は,「材料の色や形からの発想を楽しむ遊び」「材料を身体につけて楽しむ遊び」等,「造形的な遊び」を具体的に説明する際に用いられていることが分かった。一方,分析対象の資料の中で最も文章量の多いH20年版解説書が「遊び」という用語が最も少ない結果となった。本分析の結果については「『造形遊び』の教科内容としての位置付けとその認識に関する考察ー小学校指導書・学習指導要領解説書の比較分析を中心にー」として学会での発表を予定していたが,新型コロナウイルス流行の影響で当該学会が中止された。 S2に関しては,モデル化のための資料収集として教育現場の視察及び実践を行うとともに,造形遊びが教科内容として位置づけられて以降に発刊された教科書の分析を行った。 その結果,「造形遊び」は昭和52年から平成10年まで,改訂ごとに対象学年を拡張ているが,教科書題材として内容に一定の安定感を持つまでには,低,中学年でおよそ20年の期間を要していることがわかった。 S3に関しては,西尾正寛(畿央大学・教授),大西洋史(関西国際大学・准教授),宮川紀宏(鳴門教育大学附属小学校・教諭)と,最終年度に向けて撮影方法を検討し必要機材等を準備し,年度内に予備的な実践及び記録を行う予定であったが,新型コロナウイルス流行の影響を鑑み,令和元年度内での実施を見送ることとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は,本研究の最終年次にあたる。 令和元年度内で実施予定であった研究活動のうち,新型コロナウイルスの影響が低いもの,たとえば研究打ち合わせや聞き取り取材等,電話やインターネット等を活用することで遠隔で行えるものについては,方針を切り替え積極的に推進していく。 一方で,学校現場等で実践及びデータ収集等を行わなければならない研究内容については,新型コロナウイルスの感染及び,それに伴う学校現場等の今後の状況を見つつ,令和2年度内のできるだけ早い時期に実施に移し,積極的な研究推進を行っていく。 ただし,学校現場等において新型コロナウイルスの感染の影響が令和2年度9月以降も続く状況である場合には,本研究計画のS2『「造形遊び」のモデル化』までは実施可能であるものの,S3『「造形遊び」授業の映像化』に関しては,令和2年度内での実現が困難となることが予想される。その際には,研究計画の延長を申請する等の措置も視野に入れつつ研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用学が生じた理由としては以下の通り。 令和2年2月頃より影響が出始めた新型コロナウイルスの国内感染の拡大に伴い,研究成果発表のために出席を予定していた3月27日,28日開催の「美術科教育学会 第42回 千葉大会」が中止となった。また,2月から3月の期間に,予定していた協力校による試験的な授業実践及びその撮影とそれに向けた研究打ち合わせが,同様に新型コロナウイルスの国内感染の拡大に伴い延期せざるを得なくなった。さらに同期間に予定していた歴代の調査官への聞き取り調査も,感染予防の観点から実施を見送らざるを得なかった。これらのことから,旅費及び人件費,謝金を執行できなかったため次年度使用額が生じた。 次年度期間中,新型コロナウイルスの国内感染の収束後,学会参加及び研究打ち合わせ,聞き取り調査を行う際に旅費を使用する予定である。また,聞き取り調査を行う際に謝金を使用する予定である。
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