研究課題/領域番号 |
18K02672
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
柳澤 良明 香川大学, 教育学部, 教授 (40263884)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 民主主義教育 / 生徒参加 / シティズンシップ教育 / 主権者教育 / ドイツ / 政治教育 |
研究実績の概要 |
本研究の4年目の目的は、ドイツの中等教育での民主主義教育の実践事例分析を行うとともに、そこでの生徒参加の活動内容に関する実践事例分析を行うことであった。 4年目は、3年目の研究に続き、ドイツの中等学校が分岐型学校体系を採っており、複数の学校種に分かれていることから、ギムナジウム、総合制学校、あるいは実科学校と基幹学校が統合して生まれた新しい学校種での実践事例分析を行うことを計画した。また対象地域に関しては、主に旧東ドイツ地域での実践事例の分析を計画した。しかしながら、実際に実践事例校を選択する際に、「ドイツ学校賞」と並び、民主主義教育に取り組んでいる学校の中から、とくに優れた取り組みを行っている学校を表彰する「民主主義を体験する-『民主主義的な学校開発』賞」の受賞校のうちから選び出したため、学校種や対象地域に関して、当初の計画とは異なる事例校も含まれることとなった。しかしながら、優れた取り組みを分析するという点を重視し、これらの事例校を分析対象とした。具体的には、初等教育の学校を含む旧西ドイツ地域の3校を事例校として取り上げた。 その結果、3年目の研究において類型化の試案として挙げた3つのタイプ、すわなち、責任遂行の取り組みを核とする「タイプⅠ:体験活動型」、自己決定の取り組みを核とする「タイプⅡ:授業づくり型」、共同決定の取り組みを核とする「タイプⅢ:問題解決型」に分類されることが見出された。 これにより、3年目に試案で挙げたタイプ分けに一定程度の安定性が見い出されたと言える。しかしながら、まだ事例校の数が少ないため、今後、このタイプ分けを基礎として生徒参加の類型化をさらに精緻化していくことが課題となる。同時に、新型コロナウイルス感染拡大が収束した後に、取り上げた事例校を実際に訪問し、詳細なインタビュー調査を実施することが不可欠である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年目に予定した研究目的をおおよそ達成することができたと考えられるため、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。 しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により、ドイツでの学校訪問、研究者および教育行政関係者へのインタビュー調査がまったく実施できなかった。本来であれば、実践事例分析の対象校を訪問し、民主主義教育や生徒参加の実際の様子を参観するとともにインタビュー調査等を行うことで、情報収集を行う予定であったが、こうした調査をいっさい実施することができなかった。そのため、インターネットからの情報をもとに、事例校の取り組みに関してある程度の分析を行うことはできたが、不明な点も数多く残されているのが実際である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の5年目の目的は、学校当事者へのインタビュー調査、文献による事例分析、専門家へのインタビュー調査により、民主主義教育やそこでの生徒参加の全体像について、具体的には、生徒参加の対象や方法の類型化や体系化を行うことである。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、ドイツでの学校訪問、研究者および教育行政関係者へのインタビュー調査が実施できなかったため。 今後、感染拡大が収束し、ドイツでの現地調査が安全に実施できることが確認された時点で、ドイツでの学校訪問、研究者および教育行政関係者へのインタビュー調査を実施したい。
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