研究課題/領域番号 |
18K02673
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
城戸 茂 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (00591091)
|
研究分担者 |
露口 健司 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (70312139)
藤平 敦 日本大学, 文理学部, 教授 (60462157)
中野 澄 大阪成蹊短期大学, グローバルコミュニケーション学科, 教授 (70741940)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 社会性 / パネルデータ / 特別活動 / 生徒指導 / 道徳教育 |
研究実績の概要 |
豊かな心の育成に資するため、平成27年度から3年間実施した挑戦的萌芽研究(15K13235)において、道徳的実践の重要な指導の場である特別活動に視点を当て、体験活動や実践活動における社会性の育成状況を把握するための尺度を開発しその有効性や課題を明らかにしてきた。 本研究においては、当該研究における成果や課題を踏まえ、特別活動に視点を当てながら効果的に児童生徒の社会性を育てるための教師による自律的な改善プログラムを開発することを目的として研究を進めている。 しかしながら、令和2年度はコロナ禍のため調査を中断せねばならない状況が生まれた。そこで、これまでに蓄積されたデータの分析に重点を置いて研究を進めることとした。その概要は、次のとおりである。 本研究においてこれまでに得られたパネルデータを基に、生徒指導上の様々な問題が顕在化すると言われる小学校と中学校の接続期の子供について、規模の異なる4つの小学校を校区とする公立中学校の入学者を対象に行った調査結果を分析した。そこから明らかとなったことは、次の4点である。1点目は、中学校入学直後には新し生活を楽しいと感じる生徒の割合や授業の理解度などが一時的に高くなるものの、それ以降は低下傾向にあること。2点目は、中学校入学直後から集団に積極的に関わろうとする意識や自己有用感が小学校の時と比べ低下傾向にあること、中でも、小規模小学校出身者にその傾向が顕著であること。3点目は、入学時の規範意識や自己肯定感については、小学校卒業時とほとんど変化がないこと。4点目は、入学して間もない時期には、他者を受容しようとする傾向が見られること、である。以上のことから、小規模校出身者へ配慮した入学時期の学級経営や、小学校高学年の時期からの中学生との交流の重要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度から、1つの中学校区内に4つある全ての小学校が本研究に協力していただけるようになり、小中の接続に視点を当てた研究が進むようになるなど、順調に研究が進んでいた。しかし、令和2年2月ころから急速に広まり始めた新型コロナウィルス感染症のため、令和2年3月に予定していた調査以降、規模の大きな学校を中心に調査を見送らねばならなくなるなど、予定していた調査が進められなくなった。 しかし、これまでに蓄積してきたデータの分析に力を入れ、出身小学校の規模や特質別にみた中学校での社会性の変容を明らかにするなど、研究の本質的な部分については、何とか研究の継続が確保できていると認識している。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の中、令和3年度については、調査に対する学校の協力が得られやすくなるよう、実施方法等について学校と相談しながら検討していくことが必要であると感じている。中でも、管理職の異動があった学校に対しては、これまでの研究成果を示しながら本研究の意義について十分に理解していただくなど、丁寧な対応でこれまでに時間をかけて構築してきた研究体制が維持できるよう力を入れていきたい。 また、調査を予定どおりに実施することができなかった時期に力を入れてきた蓄積されたデータの分析を入念に行いながら、次の新たなる研究の方向性についても模索していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の混乱の中で、予定していた分析ソフトの選定が思うように進まなかったことや、学会等の研究成果発表会がリモート開催となり一部旅費の残額が発生したことが主な要因である。分析ソフトの選定とデータ分析の環境の整備に注力したい。
|