研究課題/領域番号 |
18K02675
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
藤井 良宜 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10218985)
|
研究分担者 |
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
渡邊 耕二 宮崎国際大学, 教育学部, 准教授 (30736343)
竹内 光悦 実践女子大学, 人間社会学部, 教授 (60339596)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 統計教育 / 態度評価 / 質問票作成 / コンピュータ活用 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究においては,統計教育の目標として,知識・技能を中心とするのではなく,統計教育に対する興味や関心を高め,生涯を通して学び続ける態度を育成することを目指している。そのために,「統計に対する態度」を測定する質問紙を開発し,統計教育の方法の改善を行う。まず,「統計に対する態度」については,大学教養教育を対象とした質問紙については,すでにWebを利用したデータ収集システムが完成しており,現在広く利用者を募集しているところである。そのため,統計関連学会連合大会や2019年3月に実施された統計教育の方法論ワークショップにおいて,この質問紙の特徴やこのような評価を行うことの意義について口頭発表を行った。2018年度の調査実績としては,2つの大学で約400名について授業前および授業後の両方の調査を実施した。また,システムに登録された教員は5大学8名となり,2019年度以降はもっと多くの学生を対象に調査を実施し,データを入手できる見込みである。中学生版にいては,大学教養教育版を参考に,よりわかりやすい表現や中学校での活用を考慮して改良を行い,中学生版の質問票を完成させることができた。 また,統計教育の方法については,これまで研究を進めてきた,研究者の卵を対象として教育方法や大学卒業後の保健師等を対象としたセミナーでの統計教育の取り組みなどについて,2018年7月に実施された国際統計教育会議(ICOTS10)で2つの口頭発表および論文提出を行った。また,中学校における統計教育の方法についてもコンピュータを活用した統計教育を進めるためのソフトウエアの開発に取り組んでおり,今後これらの統計教育の方法について,「統計に対する態度」という観点から評価を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は,本研究のベースとして「統計教育に対する態度」の質問票の普及や中学旋盤の質問票の作成を中心に研究を行ってきている。大学教養教育版の質問紙については,すでに400名程度のデータが収集できている。ただ,まだ大学数が少ないため,今後も多くの大学で利用していただけるよう,これまでの調査結果を公表するなど普及に努める必要がある。中学生版についても,大学教養教育版をベースに中学校の現職の教員とも意見交換を行って,質問票を完成することができた。また,統計教育の方法についても,これまでの理論中心の統計教育からコンピュータシミュレーションを活用した教育の方法や中学校でのコンピュータを活用した授業開発を進めており,2018年度の研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度には,大学での統計教育の方法の開発と中学生版の質問票の特性分析を中心に実施する予定である。大学での統計教育の方法については,現在データサイエンス教育の改善に多くの大学で取り組んでおり,幅広く多くの人に対してデータサイエンス教育を進めるためにも,コンピュータをうまく活用して統計教育の基本的な概念や思考の進め方を中心に教育を進める必要がある。そこで,コンピュータシミュレーションを活用した統計教育の方法を確立することに努める。また,中学校版の質問票については,特製の分析を実施し,どのような下位尺度が存在するのか,また,現場での活用を意識して,それらの下位尺度をある程度測定しながら,質問項目を減らすことができないか,などの点について検討を進める。また,2021年度に完全実施される中学校新学習指導要領のスタートに合わせて,中学校での統計教育の方法についても,現場の教員と協力しながら研究を進める。
|