研究課題/領域番号 |
18K02677
|
研究機関 | 秋田公立美術大学 |
研究代表者 |
毛内 嘉威 秋田公立美術大学, 美術学部, 教授 (70712769)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 探究型道徳授業モデル / 課題意識 / 納得解 / 遠隔化システム / 指導と評価 / 道徳科 / 道徳的価値 / 多面的・多角的 |
研究実績の概要 |
本研究は、子供が学習の見通しをもちながら、自ら学びたいという課題意識や課題追究への意欲をもち、多面的・多角的に理解した道徳的価値から自分の生活を振り返り、成長を実感し、課題や目標を見付ける「探究型道徳授業モデル」を開発することである。これは、自らが納得できる考えを導き出す意義もある。 「探究型道徳授業モデル」の開発については、大学附属小学校・中学校等と協同で研究を進め、学校現場での授業実践を経て、問題意識を持たせる導入、他者の考えと比べ自分の考えを深める展開・課題を自分との関わりで捉え納得解を導き出す展開、主題を自分事として捉え自己を見つめ発展させ希望を持たせる終末などについて明らかにしてきた。 当初の予定では、多くの学校での授業実践や研修会を予定していたが、コロナ禍のために学校現場が休校になったり教職員の負担が増大したりして、実践校が大幅に減少した。ただ、このような状況でも、秋田県・青森県・岩手県・宮城県・福島県・愛媛県などの小・中学校が、この授業モデルの開発のために協力していただいた。 この探究型道徳授業モデルの成立には、教師が子供一人一人の人間的な成長を見守り,子供自身の自己のよりよい生き方を求めていく努力を評価し,それを勇気付ける働きをもつ評価の必要性を確認できた。同時に、教師にとって、指導方法の改善・充実に取り組む資料となる指導と評価サイクルの構築の必要性も確認できた。今後は、遠隔化システムを活用した学校としての取組や教師自らの指導について改善を行う指導と評価の一体化の構築が急務と考える。 本研究は、物理的距離という障害を乗り越えるために遠隔化システムを活用し、研究機関である大学が学校現場や教育委員会をサポートすることであった。今回は、感染症対策の上でも遠隔化システムを活用した本研究の取り組みは有効である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、「特別の教科 道徳」(以後「道徳科」)の探究型道徳授業の指導法について検討し、道徳性を育むための探求型道徳授業モデルを開発する。また、指導と評価の一体的な在り方に関する遠隔化システムを活用した実践的提案である。 上記にもあるように、道徳科の授業モデル開発と評価の実践的研究の推進である本研究の性格上、学校現場及び教育委員会との協力および連携は不可欠である。しかし、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症のまん延により学校現場が臨時休業等に陥ったり、予定されていた教員研修がすべて中止となったりと、予想もしていなかった深刻な状況に陥った。 また、感染症の防止対策のため、教職員の負担が増大している状況において、子供の学びの保障、心のケアなどの対応が重要であり、本研究に対する研究協力を学校現場に求めることは倫理上からも難しかった。 令和2年度後半からは、遠隔システムを活用して研修会や学習会を企画・実践し、全国から教員が参加し、講評を得ている。しかし、学校教育現場において校内研修などの活用については、時間的余裕もなく積極的な活用は見られていない。教育委員会が主催の研修会などでは、積極的に活用され、連携・協力もある程度進んだ。 令和2年度夏休み以降からはやや余裕が出てきたものの、年末に感染が拡大し、各学校の研修会などが再度中止になったりして先が見通せない状況であった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度の研究の振興方策は、①探求型道徳授業モデルの開発と指導方法の改善・充実に取り組むための資料となる評価の開発、②道徳科の探究型道徳授業モデルを通して指導と評価の在り方の検証、③遠隔化システムを活用した指導と評価の一体化の有効性の検証、④研究のまとめ(成果と課題)となっている。 研究を遂行する上で、新型コロナウイルス感染症対策に十分に留意し、まん延防止に努める。特に、感染防止のための取組(手洗いや手指消毒、咳エチケット、職員同士の距離確保、換気励行、複数人が触る箇所の消毒、発熱等の症状が見られる参加者の自粛、「三つの密」や「感染リスクが高まる「5つの場面」」等を避ける行動を徹底するよう、お願いする。 また、研修会場が「三つの密」等濃厚接触が生じることのないよう、対策の徹底を呼びかける。また、クラスターが発生した場合には、幅広く検査を実施するなど、最悪を想定したリスク管理を徹底する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症のため、研究協力をお願いしている学校が休校したり、予定していた研修のほとんどが中止となったりして、本研究を推進することができなかった。特に、コロナ禍のため教職員の負担が増大している状況において、本研究に対する研究協力を教育委員会および学校現場に求めることは倫理上からも不可能であった。 令和3年度は、コロナ禍の状況のいても遠隔システムを活用した研修会や学習会を企画・実践し、全国から教員が参加できる体制を構築したいと考えている。また、学校現場の校内研修や教育委員会主催の研修会などが参加しやすい環境を設定し、積極的に活用されるよう計画を一部変更する。 令和3年度の使用計画は、①探求型道徳授業モデルの開発費と指導方法の改善・充実に取り組むための資料となる評価の開発費、②道徳科の探究型道徳授業モデルを通して指導と評価の在り方の検証のための費用、③遠隔化システムを活用した指導と評価の一体化の有効性の検証と研究のまとめ(成果と課題)のための費用に充てる。
|