研究課題/領域番号 |
18K02678
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
松本 晴子 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50453353)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小林つや江 / 系統的音楽指導 / リズム学習 / 児童に寄り添った指導 / 継続した音楽の学び |
研究実績の概要 |
2021年度は小林つや江(以下つや江)についての継続研究を行った。着目したのはつや江が、東京教育大学附属小学校(以下附属小)の音楽科教員として、どのような音楽指導観を持って授業を実践していたのかについて明らかにすることである。手掛かりとしたのは、つや江が勤務していた時期に、附属小には同時に他2名の音楽科担当教員が勤務しており、3人の共著で刊行した『音楽科の系統的指導』(以下当該書)の著書である。当該書は3人の分担執筆であることから、つや江が執筆した「第1章音楽科における系統的指導の基盤」と「第3章“表現”の系統的指導の実際第1節“歌唱”」を読み解き考察を行った。 その結果、次の3点が明らかとなった。第1につや江は歌唱表現活動において歩くことをリズムの基本として重要視し、楽曲の指導にあたってはかならずリズム学習を取り入れていたことである。第2に児童の興味と関心を引き出し児童と共に取り組む姿勢を持ち指導にあたっていたことである。第3に音楽には継続した学びが大切であり低学年からの音楽指導を重視していたことである。 つや江は1958(昭和33)年の学習指導要領歌唱共通教材について、曲の解説と歌い方を詳細に分析し記している。そこには発達に応じて拍子打ち・リズム打ち・リズム唱はもちろんのこと、階名模唱、階名唱、写譜をすることが記載されており、現在の小学校の音楽指導では避けられがちな音楽の基礎的な力を楽曲の指導を通して丁寧に行うことを示唆していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ過の影響もあり、資料収集が思うように進まなかった。そのなかで取り組める研究を進め、小林つや江研究は少し前進したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の1年延期をお認めいただき、今年度本研究に向かい合うことができることを感謝申し上げます。 最終年度となる今年度は、小林つや江と増子としの音楽教育者としての全体像を整理し、本研究をまとめたい。この2人の歩みは、音楽科教育への示唆を与えるものであり、そのことを明確にできるよう取り組むようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、本研究の最終年度で研究をまとめる予定であったが、コロナの影響を受け資料収集のための出張も思うように叶わず、限られた資料のなかで研究を進めることにした。 期間延長をお認めいただいたことによって、2022年度は、資料収集のための出張と本研究の成果をまとめるよう増子としと小林つや江の音楽指導観について整理し、音楽科教育への示唆をまとめ冊子にするよう取り組む。
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